レッスルマニアX8

レッスルマニアX8は、プロレス団体WWE（当時WWF）が2002年3月17日に開催した、年間最大の祭典です。カナダ・オンタリオ州トロントのスカイドームを舞台に、過去にもレッスルマニアVIが開催されたこの会場は、5万人以上を収容可能な大規模な会場として、レッスルマニアが複数回開催された唯一の場所となりました。

この大会では、6万8237人もの観客が詰めかけ、スカイドームの最多動員記録を更新。WWEはカナダでの興行で3度目の6万人超えを達成しました。興行収入はPPVだけで約45億9500万円（2002年当時）と推定され、入場料やグッズ販売などを含めると50億円を超える売上を記録したと言われています。

音楽面では、ドラウニング・プールとサライヴァが生演奏で大会を盛り上げました。特に、ドラウニング・プールはメインイベント出場者のトリプルHの入場テーマも演奏するなど、大会に華を添えました。なお、このレッスルマニアX8は、団体名がWWFからWWEに変更される直前に開催された、WWF最後のレッスルマニアとなりました。

大会を語る上で外せないのが、ザ・ロック対ハルク・ホーガン戦です。1993年以来、約9年ぶりにWWFに復帰したホーガンと、当時のエースであるロックという、新旧スーパースターの対決は、まさに時代の象徴同士の戦いとして注目を集めました。「ICON vs ICON」「モハメド・アリvsマイク・タイソン」といった比喩がされるほど、この試合への期待は高まっていました。

試合では、ロックがベビーフェイス、ホーガンがヒールという構図でしたが、観客の反応は予想を覆しました。ホーガンには大歓声が送られ、一方ロックにはブーイングが集中したのです。このブーイングをきっかけに、ロックはヒールのような態度で観客に挑発的な行動を取り、試合は白熱しました。最終的にロックが勝利し、世代交代を象徴する一戦となりました。試合後、ホーガンはロックと握手を交わし、世代交代を認めたのです。この試合は、ブーイングという要素も含め、歴史的名勝負として高く評価されています。WWEが発売したレッスルマニアXXのDVD特典に収録された「WWEスーパースターが選ぶレッスルマニア名勝負トップ10」では5位にランクイン、プロレスリング・イラストレーテッド紙では2002年の年間最高試合にも選出されています。

大会では、その他にも数々の試合が行われました。WWFインターコンチネンタル王座戦では、ロブ・ヴァン・ダムがウィリアム・リーガルを破り王座を獲得。WWFハードコア王座戦は、メイヴェン、ゴールダスト、スパイク・ダッドリー、ハリケーン、マイティ・モーリー、クリスチャンと、次々と王座が入れ替わる展開となりました。カート・アングル対ケイン戦、ジ・アンダーテイカー対リック・フレアー戦、エッジ対ブッカー・T戦なども見どころの一つでした。また、WWFタッグ王座戦は4コーナーズ・エリミネーション・マッチ方式で行われ、ビリー＆チャックが王座を防衛しました。

そして、トリプルH対クリス・ジェリコによるWWF統一王座戦では、トリプルHが勝利。これらの試合、そしてザ・ロック対ハルク・ホーガン戦を含め、レッスルマニアX8は、大成功を収めた歴史的な大会として記憶されています。

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