レッドフラッグ (演習)

レッドフラッグ (Red Flag)

レッドフラッグは、1975年以降にアメリカ合衆国のネバダ州およびアラスカ州で定期的に行われている高度な空戦演習です。この演習にはアメリカ空軍や他国の空軍が参加し、数週間にわたって現実的な空戦環境を再現しています。演習の目的は、新人パイロットに現実的な模擬空戦を経験させることにあり、非常に大規模な空戦軍事演習として知られています。

概要

ネバダ州のネリス空軍基地でのレッドフラッグは、過去には年4回開催されていましたが、現在は予算削減のために回数が減少しています。通常の開催は2週間ですが、到着と帰投の日を含めて週末の休暇を挟むため、実質的には約10日間の演習となります。初日の3日は、パイロットの慣熟飛行や基礎訓練を兼ねた演習が行われ、その後、演習の難易度は徐々に上がっていき、最後の3日間では実戦に近い状況が再現されます。

演習の運営は主にアメリカ空軍第57航空団に所属する第414戦闘訓練隊が担当し、アメリカ陸軍、海軍、海兵隊をはじめとした他国軍も関与しています。事前に計画会議が行われ、演習内容や参加者の宿泊について話し合います。この演習では、電子戦、爆撃、対地攻撃など多岐にわたる訓練が行われ、UAV（無人航空機）も参加して戦闘能力を試されることがあります。

アイルソン空軍基地のレッドフラッグ

アラスカ州のアイルソン空軍基地においても、レッドフラッグは年間4回、各回10日間のスケジュールで実施されます。こちらは「レッドフラッグ・アラスカ」として知られており、より現実的な戦闘状況の再現に重きを置いています。レッドフラッグ・アラスカはもともと「コープサンダー」として行われていましたが、2006年に名称が変更され、内容もネリス空軍基地のものに合わせられました。

歴史

レッドフラッグの開催は、ベトナム戦争中の経験に基づいています。当時、アメリカ軍は敵機とのドッグファイトにおいて不利な状況が続き、多くのパイロットが現実的な訓練を欠いていることが分かりました。これを受けて1975年、アメリカ空軍は安全な環境で空戦を模擬する演習を開始することにしました。開催の決定には、大佐のデヴィッド・バーニーなどが関与し、1976年には第4440戦術戦闘訓練団が運営を開始しました。

アグレッサー部隊では、特に仮想敵の飛行技術を模擬するために、ベテランパイロットが選ばれています。最初はミグ21の技術をT-38で再現していましたが、現在は最新型のF-16などが使用されています。演習の内容も戦術に合わせて進化し、特に目視外戦闘が重視されています。

参加国

レッドフラッグには多くの友好国が参加しており、演習の回を重ねるごとに国際的な協力も強化されています。参加国の中には、カナダ、イギリス、日本、そしてオーストラリアなどがあり、それぞれの軍事技術の向上を目指しています。演習はアラスカ州とネバダ州で行われるため、広大な空域が利用され、充実した訓練環境が整えられています。

レッドフラッグは、パイロットにとって実戦に近い貴重な経験を提供する重要なプログラムとして、今後も続けられていくでしょう。

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