レッドリバー郡 (ルイジアナ州)

レッドリバー郡の歴史と社会

レッドリバー郡は、アメリカ合衆国ルイジアナ州北部に位置する郡です。その歴史は、南北戦争後のレコンストラクション時代にまで遡ります。1871年、州議会によって設立されたこの郡は、かつては奴隷労働に依存した綿花プランテーション経済が中心でした。設立当初は黒人人口が白人の2倍でしたが、激動の時代を経て、その社会構造は大きく変化しました。

レコンストラクション時代の混乱

レコンストラクション時代、レッドリバー郡を含む南部地域は、白人自警団や民兵組織による暴力に晒されました。1871年に共和党の力を強化するために設立されたレッドリバー郡では、北軍退役兵のマーシャル・H・トウィッチェルが土地の指導者となり、黒人からの支持を集めました。しかし、1870年代後半には、白人同盟による組織的な暴力が横行し、黒人や共和党員は選挙から排除されるようになりました。

1874年8月には、クーシャッタ虐殺事件が発生し、6人の共和党員が暗殺されました。この事件は、州全体の政治的緊張を高め、連邦軍の増援を求める事態にまで発展しました。こうした暴力事件や不正選挙の結果、民主党が勢力を取り戻し、1898年には黒人や貧困層の選挙権が事実上剥奪されました。

20世紀以降の変化

20世紀に入ると、アフリカ系アメリカ人は差別や選挙権剥奪から逃れるため、「大移動」と呼ばれる大規模な移住を行い、レッドリバー郡などの田園地域を離れていきました。1930年代には農業の機械化が進み、労働需要が減退したことも、移住を加速させる要因となりました。

1980年代になると、南部都市圏での雇用機会が増加し、アフリカ系アメリカ人は南部内での移住を始めました。政治的には、レッドリバー郡は民主党の強い地盤でしたが、近年では共和党支持も増加しています。特に大統領選挙では、白人保守層が共和党に投票する傾向が強まっています。しかし、州や地方レベルでは、依然として民主党への支持が根強いのが現状です。

2007年の州知事選挙では、共和党候補が圧勝する中で、レッドリバー郡は共和党候補に多数票を与えなかった数少ない郡の一つでした。これは、この地域が依然として民主党の牙城であることを示しています。ただし、州議会上院には共和党のジェラルド・ロングが選出されており、政治的な多様性も存在します。

地理と環境

レッドリバー郡の総面積は402平方マイルで、そのうち陸地が389平方マイル、水域が13平方マイルです。ビスティノー湖から流れ出るロギー・バイユーが郡内を流れ、レッド川に合流しています。郡内にはアメリカ国道71号線、84号線、371号線、ルイジアナ州道1号線などの主要道路が通っており、交通の便も比較的良いです。レッド川国立野生生物保護区の一部も郡内に位置しており、自然豊かな環境が保たれています。

人口と教育

2000年の国勢調査によると、レッドリバー郡の人口は9,622人でした。郡内には、クーシャッタ市をはじめとするいくつかの町があります。レッドリバー郡教育学区が地元の公立学校を運営しており、地域の子供たちの教育を担っています。

レッドリバー郡は、その歴史を通して、社会的な変革と政治的な変動を経験してきました。奴隷制、レコンストラクション、人種差別、そしてその後の変遷といった多くの要素が複雑に絡み合い、現在の姿を形作っています。これからもこの地域の歴史と変化を見守っていく必要があります。

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