レッド・ガーディアン
「レッド・ガーディアン」（Red Guardian）は、マーベル・コミックが世に送り出した、ソ連（後にロシア）を象徴するスーパーヒーローです。彼は、アメリカの象徴であるキャプテン・アメリカに対抗する存在として考案され、その mantle（役割や称号）は複数の人物に引き継がれてきました。ソビエト連邦の崩壊後も、この名は受け継がれ、さまざまな物語で重要な役割を果たしています。
コミックにおけるレッド・ガーディアンの歴史は、1991年6月刊行の『Namor, The Sub-Mariner Annual』第1号で初登場した初代アレクセイ・レベデフに始まります。作家ダナ・モレシェッドとマイク・トーマス、アーティストのフィル・ヘスターによって創造された彼は、第二次世界大戦中に家族を失った悲劇に見舞われながらも、その英雄的な行動が認められ、最初のレッド・ガーディアンとして活動を開始しました。1945年のポツダム会談では、キャプテン・アメリカ（当時のウィリアム・ナスランド）やネイモアと共に一時的に「オール・ウィナーズ・スクワッド」に加わりましたが、終戦直後に彼らと対立。後の二代目アレクセイ・ショスタコフがレッド・ガーディアンとなることに反対したため、当局によって抹殺されたとされています。
二代目のアレクセイ・ショスタコフは、ロイ・トーマスとジョン・バスセマのペンから生まれ、1967年8月の『アベンジャーズ』第43号でデビューしました。彼は歴代レッド・ガーディアンの中で最も広く知られた存在です。かつてソビエトの優秀なテストパイロットだったアレクセイは、後のブラック・ウィドウとなる若きバレリーナ、ナターシャ・ロマノヴァと結婚します。しかし、彼のテスト飛行中の事故死は偽装であり、実際にはキャプテン・アメリカに対抗するためのソビエト版スーパーソルジャー計画の候補者として極秘裏に訓練を受けていました。二人が再会したのは、ナターシャがS.H.I.E.L.D.のエージェントとしてアメリカに亡命した後でした。超人兵士となったアレクセイは、ソビエトの威信をかけたキャプテン・アメリカとの決闘に臨みますが、戦いがキャプテン有利に進むのを見た彼の上官が卑劣な不意打ちを仕掛けたことで中断。その行為にプライドを傷つけられたアレクセイは、ナターシャとキャプテンを庇い、味方の銃弾を受けて命を落とす壮絶な最期を迎えます。
その後もレッド・ガーディアンの名は引き継がれます。三人目のタニア・ベリンスキーは、スティーヴ・ガーバーとサル・ビュッセマによって創造され、1976年5月の『ザ・ディフェンダーズ』第35号で登場しました。天才的な神経外科医でありながら、反体制派として追放された父の意志を継ぎ、レッド・ガーディアンとして活動。ディフェンダーズに参加し、後にセルゲイ・クリロフ/プレゼンスによって強化され「スターライト」となります。四代目のジョセフ・ペトクスは、マーク・グルーンウォルドとキーロン・ドワイヤーの作品として1989年4月の『キャプテン・アメリカ』第352号で初登場。ソビエトの諜報員で、スプリーム・ソビエツやウィンター・ガードなどのロシアのスーパーヒーローチームの一員として活躍し、キャプテン・アメリカとも共闘しました。彼は後に「スチール・ガーディアン」と名を変えますが、ある任務中に命を落とします。五代目のクラスノ・グラニツキーは、ジョージ・ゴンザレスとレオ・フェルナンデスの手により1998年6月の『Maverick』第10号で登場。彼の名前はジェームズ・ボンドシリーズに由来します。デビッド・ノース/マーベリックと共闘しましたが、後にアレクサンダー・ルーキンによって処刑されました。六代目のアントン・イワノフは、ジェフ・ローブとエド・マクギネスによる『ハルク』シリーズ第1号でウィンター・ガードの一員として登場。元クリムゾン・ダイナモであり、後に意識をライフ・モデル・デコイ（LMD）に移したユニークな存在です。七代目のニコライ・クリレンコ、通称「ヴァンガード」は、ビル・モントロとカーマイン・インファンティーノによって1978年4月の『アイアンマン』第109号に初登場し、後にレッド・ガーディアンとなりました。彼はウィンター・ガードを率いています。
レッド・ガーディアンたちの能力と装備は多岐にわたります。突然変異による超常的な力を持つベリンスキーやクリレンコを除けば、多くは超人的なパワーを持っていませんが、徹底的な訓練を受けた優れた肉体と運動能力を持つアスリートです。特にアレクセイ・ショスタコフは熟練したパイロットであり、白兵戦やスパイ技術にも長けていました。歴代のレッド・ガーディアンの多くは、キャプテン・アメリカと同様の頑丈な盾を使用します。ショスタコフやベリンスキーは、投げても手元に戻る磁力式の「ベルトバックル・ディスク」を駆使した戦闘スタイルも得意としました。ペトクスは盾に加えて通電剣を使用し、アントン・イワノフ（LMD）はサイバネティクスによる強化された力を持ちます。クリレンコは変異由来のスーパーパワーに加え、デジタル接続でガイド飛行やエネルギー増幅が可能な高度なコスチュームを着用しています。
コミックの異なるユニバースにもレッド・ガーディアンは存在します。『Exiles』や『Civil War: House of M』では、それぞれの世界観に応じた姿で登場しました。『アルティメット・マーベル』ユニバースにおけるアレクセイ・ショスタコフは「キャプテン・ロシア」と呼ばれ、非常に狂気的ながら超人的な力と耐久性を持ち、手製の盾を使うキャラクターとして描かれました。アゼルバイジャン出身のアブドゥル・アル=ラーマンも、レッド・ガーディアンをベースにしたキャラクターとして登場しています。
「マーベル・シネマティック・ユニバース」（MCU）においては、映画『ブラック・ウィドウ』（2021年）でアレクセイ・ショスタコフがデヴィッド・ハーバーによって演じられました。日本語吹替は大塚明夫が担当しています。このMCU版アレクセイは、ソ連がキャプテン・アメリカに対抗するために生み出したロシア人超人兵士という背景は同じですが、過去の栄光に囚われ、やや粗野で単細胞化したキャラクターとして描かれています。冷戦時代はKGBのスパイとして活躍し、一時期は偽装家族としてナターシャ・ロマノフやエレーナ・ベロワの「父親」を演じましたが、任務終了後に見捨てられ、20年以上の投獄生活を送ったことで、かつての姿から大きく変わってしまいました。しかし、科学的に強化された超人レベルの基礎身体能力や、柔道・キックボクシングを合わせたような戦闘技能、スパイ技術は健在です。キャプテン・アメリカのユニフォームに酷似した、胸と額に星マークがあしらわれた赤いコスチュームを着用し、MCU独自のデザインの盾を使用します。映画『ブラック・ウィドウ』では、ナターシャとエレーナに助け出され、自身の過去や後悔と向き合いながら、崩壊寸前のレッドルーム本部からの脱出を共に戦い抜きました。今後のMCU作品では、2025年公開予定の映画『サンダーボルツ*』への出演も決定しています。
テレビドラマ『エージェント・オブ・シールド』に登場したアントン・イワノフ/スポイラーは、コミック版の同名キャラクターから着想を得ていますが、レッド・ガーディアンにはなりません。
その他にも、レッド・ガーディアンは『アベンジャーズ・アッセンブル』や『マーベル フューチャー・アベンジャーズ』といったテレビアニメ、あるいは『LEGO マーベル スーパー・ヒーローズ 2 ザ・ゲーム』などのビデオゲーム、そして映画タイアップ企画のモバイルゲームなど、さまざまなメディアでその姿を見せています。
コミックにおけるレッド・ガーディアンの歴史は、1991年6月刊行の『Namor, The Sub-Mariner Annual』第1号で初登場した初代アレクセイ・レベデフに始まります。作家ダナ・モレシェッドとマイク・トーマス、アーティストのフィル・ヘスターによって創造された彼は、第二次世界大戦中に家族を失った悲劇に見舞われながらも、その英雄的な行動が認められ、最初のレッド・ガーディアンとして活動を開始しました。1945年のポツダム会談では、キャプテン・アメリカ（当時のウィリアム・ナスランド）やネイモアと共に一時的に「オール・ウィナーズ・スクワッド」に加わりましたが、終戦直後に彼らと対立。後の二代目アレクセイ・ショスタコフがレッド・ガーディアンとなることに反対したため、当局によって抹殺されたとされています。
二代目のアレクセイ・ショスタコフは、ロイ・トーマスとジョン・バスセマのペンから生まれ、1967年8月の『アベンジャーズ』第43号でデビューしました。彼は歴代レッド・ガーディアンの中で最も広く知られた存在です。かつてソビエトの優秀なテストパイロットだったアレクセイは、後のブラック・ウィドウとなる若きバレリーナ、ナターシャ・ロマノヴァと結婚します。しかし、彼のテスト飛行中の事故死は偽装であり、実際にはキャプテン・アメリカに対抗するためのソビエト版スーパーソルジャー計画の候補者として極秘裏に訓練を受けていました。二人が再会したのは、ナターシャがS.H.I.E.L.D.のエージェントとしてアメリカに亡命した後でした。超人兵士となったアレクセイは、ソビエトの威信をかけたキャプテン・アメリカとの決闘に臨みますが、戦いがキャプテン有利に進むのを見た彼の上官が卑劣な不意打ちを仕掛けたことで中断。その行為にプライドを傷つけられたアレクセイは、ナターシャとキャプテンを庇い、味方の銃弾を受けて命を落とす壮絶な最期を迎えます。
その後もレッド・ガーディアンの名は引き継がれます。三人目のタニア・ベリンスキーは、スティーヴ・ガーバーとサル・ビュッセマによって創造され、1976年5月の『ザ・ディフェンダーズ』第35号で登場しました。天才的な神経外科医でありながら、反体制派として追放された父の意志を継ぎ、レッド・ガーディアンとして活動。ディフェンダーズに参加し、後にセルゲイ・クリロフ/プレゼンスによって強化され「スターライト」となります。四代目のジョセフ・ペトクスは、マーク・グルーンウォルドとキーロン・ドワイヤーの作品として1989年4月の『キャプテン・アメリカ』第352号で初登場。ソビエトの諜報員で、スプリーム・ソビエツやウィンター・ガードなどのロシアのスーパーヒーローチームの一員として活躍し、キャプテン・アメリカとも共闘しました。彼は後に「スチール・ガーディアン」と名を変えますが、ある任務中に命を落とします。五代目のクラスノ・グラニツキーは、ジョージ・ゴンザレスとレオ・フェルナンデスの手により1998年6月の『Maverick』第10号で登場。彼の名前はジェームズ・ボンドシリーズに由来します。デビッド・ノース/マーベリックと共闘しましたが、後にアレクサンダー・ルーキンによって処刑されました。六代目のアントン・イワノフは、ジェフ・ローブとエド・マクギネスによる『ハルク』シリーズ第1号でウィンター・ガードの一員として登場。元クリムゾン・ダイナモであり、後に意識をライフ・モデル・デコイ（LMD）に移したユニークな存在です。七代目のニコライ・クリレンコ、通称「ヴァンガード」は、ビル・モントロとカーマイン・インファンティーノによって1978年4月の『アイアンマン』第109号に初登場し、後にレッド・ガーディアンとなりました。彼はウィンター・ガードを率いています。
レッド・ガーディアンたちの能力と装備は多岐にわたります。突然変異による超常的な力を持つベリンスキーやクリレンコを除けば、多くは超人的なパワーを持っていませんが、徹底的な訓練を受けた優れた肉体と運動能力を持つアスリートです。特にアレクセイ・ショスタコフは熟練したパイロットであり、白兵戦やスパイ技術にも長けていました。歴代のレッド・ガーディアンの多くは、キャプテン・アメリカと同様の頑丈な盾を使用します。ショスタコフやベリンスキーは、投げても手元に戻る磁力式の「ベルトバックル・ディスク」を駆使した戦闘スタイルも得意としました。ペトクスは盾に加えて通電剣を使用し、アントン・イワノフ（LMD）はサイバネティクスによる強化された力を持ちます。クリレンコは変異由来のスーパーパワーに加え、デジタル接続でガイド飛行やエネルギー増幅が可能な高度なコスチュームを着用しています。
コミックの異なるユニバースにもレッド・ガーディアンは存在します。『Exiles』や『Civil War: House of M』では、それぞれの世界観に応じた姿で登場しました。『アルティメット・マーベル』ユニバースにおけるアレクセイ・ショスタコフは「キャプテン・ロシア」と呼ばれ、非常に狂気的ながら超人的な力と耐久性を持ち、手製の盾を使うキャラクターとして描かれました。アゼルバイジャン出身のアブドゥル・アル=ラーマンも、レッド・ガーディアンをベースにしたキャラクターとして登場しています。
「マーベル・シネマティック・ユニバース」（MCU）においては、映画『ブラック・ウィドウ』（2021年）でアレクセイ・ショスタコフがデヴィッド・ハーバーによって演じられました。日本語吹替は大塚明夫が担当しています。このMCU版アレクセイは、ソ連がキャプテン・アメリカに対抗するために生み出したロシア人超人兵士という背景は同じですが、過去の栄光に囚われ、やや粗野で単細胞化したキャラクターとして描かれています。冷戦時代はKGBのスパイとして活躍し、一時期は偽装家族としてナターシャ・ロマノフやエレーナ・ベロワの「父親」を演じましたが、任務終了後に見捨てられ、20年以上の投獄生活を送ったことで、かつての姿から大きく変わってしまいました。しかし、科学的に強化された超人レベルの基礎身体能力や、柔道・キックボクシングを合わせたような戦闘技能、スパイ技術は健在です。キャプテン・アメリカのユニフォームに酷似した、胸と額に星マークがあしらわれた赤いコスチュームを着用し、MCU独自のデザインの盾を使用します。映画『ブラック・ウィドウ』では、ナターシャとエレーナに助け出され、自身の過去や後悔と向き合いながら、崩壊寸前のレッドルーム本部からの脱出を共に戦い抜きました。今後のMCU作品では、2025年公開予定の映画『サンダーボルツ*』への出演も決定しています。
テレビドラマ『エージェント・オブ・シールド』に登場したアントン・イワノフ/スポイラーは、コミック版の同名キャラクターから着想を得ていますが、レッド・ガーディアンにはなりません。
その他にも、レッド・ガーディアンは『アベンジャーズ・アッセンブル』や『マーベル フューチャー・アベンジャーズ』といったテレビアニメ、あるいは『LEGO マーベル スーパー・ヒーローズ 2 ザ・ゲーム』などのビデオゲーム、そして映画タイアップ企画のモバイルゲームなど、さまざまなメディアでその姿を見せています。
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