レッドルーム

レッドルーム (Red Room)

レッドルームは、マーベルコミックスに登場する架空の訓練施設です。主にブラック・ウィドウの名を持つ女性スパイを養成するために、ソビエト連邦（のちにロシア）によって設立されました。冷戦時代を中心に暗躍し、数々の作品でその存在が描かれています。

発行履歴

オリジン

マーベル・ユニバースにおけるレッドルームは、KGBのスパイ訓練プログラムの一つとして存在します。数十年にわたり、"ブラック・ウィドウズ"と呼ばれる女性スパイを訓練し、作品によっては、エージェントに生化学的強化や偽りの記憶を植え付ける描写も見られます。これは、"ウェポン・プラス計画"と同様の手法です。

Black Widow Ops Program

レッドルームは、中国と西洋に潜入させるディープカバーエージェントを養成するため、28人の孤児の少女を集めました。彼女たちには、グリゴール・チェリンツォフ教授によって、「ボリショイ劇場でバレエの訓練を受けた」という心理的に捏造された記憶が植え付けられました。さらに、生化学者リュドミラ・クドリンによって特別な処置が施され、少女たちは数十年にわたり、超人的なレベルで若く、健康で高い回復力を維持できるようになりました。

Wolf Spider Ops Program

レッドルームの唯一の男性研修生、ニコ・コンスタンティンは、ウルフ・スパイダーと呼ばれるプログラムで優秀な暗殺者であることを証明しましたが、制御が不可能であり、プログラムは失敗と宣言されました。数年後、彼はロシアの収容所に投獄され、ウルフ・スパイダーと呼ばれる囚人のギャングを率いました。

ヤレナ・ベラーヴァ

1970年代後半にKGBは、レッドルームを運営し続け、エージェントのヤレナ・ベラーヴァのトレーニングにも成功しましたが、彼女はすぐに離脱しました。

ノース・インスティテュート

スパイ活動を引退したナタリア・ロマノヴァはアリゾナ州で暮らしはじめたが、レッドルームを卒業した他のブラック・ウィドウたちと同様に、“ジナコン社”の傘下にある“ノース・インスティテュート”の標的とされていました。ロシアへ調査に赴いたロマノヴァは、ジナコン社のCEOイアン・マクマスターズが、当社が購入したロシア製のバイオテクノロジーのユーザー全員が死ぬことを望んでいるとレッドルームの後継機関“2R”から知らされ、ブラック・ウィドウたちが狩られていることに気づきました。ロマノヴァは、調査で友達になった少女サリー・アン・カーターを助けるために複数の政府の工作員と衝突したものの、ジナコンのマクマスターズを殺害し、マット・マードック/デアデビルとベラーヴァの助けを借りて救出に成功しました。

オメガレッド

『アンキャニィX-MEN』では、レッドルームはオメガレッドを実験などに利用する目的で管理下に置きました。また、レッドルームはウルヴァリン、コロッサス、ナイトクローラーを捕獲し、“M-Day”の出来事についての尋問に力を費やしましたが、彼らに脱出されると、追撃のためにレッドルームの司令官がオメガレッドを解き放ちましたが、彼は結局オメガレッドに殺され、ナイトクローラーの介入でオメガレッドはS.H.I.E.L.D.の拘留に戻されました。

ウィドウメーカー

『ウィドウメーカー』では、レッドルームはロシアと日本の間の戦争を誘発する偽旗作戦の一環として、“ダーク・オーシャン・ソサエティ”とアレクセイ・ショスタコフ/ローニンにKGB新兵を大量虐殺させようと企てましたが、ロマノヴァ、クリント・バートン/ホークアイ、バーバラ・モース/モッキンバード、およびデビッド・フォルトゥノフ/ドミニク・フォーチュンの共同作戦によって阻止されました。

All-New, All-Different Marvel

『All-New, All-Different Marvel』では、ハンク・ピムが娘のナディア・ヴァン・ダインに、彼女の母のマリア・トロヴァヤがレッドルームで育ったことを明らかにしました。

MCU版

概要

マーベル・シネマティック・ユニバース（MCU）では、レッドルームはかつてソ連に存在した極秘スパイ養成機関として描かれています。現代においては、ドレイコフの利益を図るための私設軍として活動する秘密組織です。冷戦時代には、この組織を認知する者からはソ連解体後に消滅したと思われていましたが、ドレイコフ主導のもとに存続していました。原油価格や株価の混乱、戦争の開始と終結、指導者や有力者のすげ替えなどを実行し、"ウィンター・ソルジャー計画"関連のデータ奪取やドレイコフ暗殺未遂など、“S.H.I.E.L.D.”との因縁がありましたが、活動に一切の支障をきたすことも、“アベンジャーズ”に察知されることもなく、裏社会から暗躍してきました。

『ホワット・イフ...?』版

アニメシリーズ『ホワット・イフ...?』では、"アース82111"にレッドルームの存在が描写され、正史と同様に極秘の組織として活動していますが、支配者がメリーナ・ヴォストコフとなっています。

本部

レッドルームの拠点は、空中基地です。この基地施設自体が「レッドルーム」とも呼ばれます。空中移動機能と、メリーナ以外のウィドウズが出入り直前に眠らされていたことから、その所在は秘匿され、組織の存在を隠し続けることにも繋がっていました。施設内には、ドレイコフやウィドウズ、機動部隊、科学スタッフが常駐し、下記の設備が備わっています。

作戦ルーム: ドレイコフのオフィス。シャンデリアや大型ホログラムディスプレイ、データベース搭載のコンソールとタッチパネルなどが設置されています。コンソールは、ドレイコフが左手小指にはめている指輪で認証・起動させ、ウィドウズと本部施設の全機能を遠隔操作できます。
タスクマスターの部屋: タスクマスターが待機・訓練に励む広めの部屋。壁面は大型スクリーンとなっています。
訓練室: ウィドウズが訓練に励む赤いトレーニングジム。バトンや手榴弾などのウィドウ専用の武器も置かれています。
ラボ: 医療機器などが配された部屋。洗脳が解けて一時ここに囚われたエレーナは、手術台に固定されて開頭処置を受けかけました。
保冷庫: ラボの下部にある設備。“レッドダスト”が一時ここに保管されました。
レベル・ゼロ: ウィドウたちの簡易個室や、本部施設を空中静止させるエンジンブロックなどで構成されています。
ベイ: 航空機の発着設備。輸送機が着陸します。

メンバー

ドレイコフ (Dreykov): レッドルームの支配者。世界中から少女たちを誘拐・拉致し、ソ連/ロシアの工作員に仕立て上げました。
マダム・B (Madame B.): レッドルームの教官。訓練中に暗殺者になることを拒否したナターシャを厳しく指導しました。
メリーナ・ヴォストコフ (Melina Vostokoff): ナターシャより上の世代のウィドウであり、レッドルームの科学者。偽装家族を演じ、任務を遂行しました。
アントニア・ドレイコフ / タスクマスター (Antonia Dreykov / Taskmaster): ドレイコフの娘であり、観察するだけで相手の動きをコピーできる能力を持っています。
ナターリア・アリアノーヴナ・"ナターシャ"・ロマノフ / ブラック・ウィドウ (Natalia Alianovna "Natasha" Romanova / Black Widow): 初代ブラック・ウィドウ。後にアベンジャーズの一員となりました。
エレーナ・ベロワ / ブラック・ウィドウ (Yelena Belova / Black Widow): 2代目ブラック・ウィドウ。レッドルーム壊滅後、ヴァレンティーナ・アレグラ・デ・フォンテーヌと契約を結びました。

部隊

ウィドウズ (Widows): レッドルームに所属する女性暗殺者チーム。
機動部隊: 男性兵士で構成される戦闘部隊。

各作品における描写

『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン|アベンジャーズ_エイジ・オブ・ウルトロン』: ナターシャの過去回想シーンで、訓練時代が描かれました。
* 『ブラック・ウィドウ』: メインヴィランの組織として登場し、その全貌が明らかになりました。

レッドルームは、マーベル・ユニバースにおいて、暗く、秘密に満ちた組織として、多くのキャラクターの運命を左右する存在です。

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