レッド・スチュワート

レッド・スチュワート：カントリー音楽界の伝説

レッド・スチュワート（本名：ヘンリー・エリス・スチュワート、1923年5月27日 - 2003年8月2日）は、アメリカのカントリー音楽界において、ソングライター、レコーディングアーティストとして多大な功績を残しました。特に、ピー・ウィー・キングとの共作「テネシーワルツ」は、世界中で愛されるスタンダードナンバーとして知られています。

生い立ちと音楽への目覚め

スチュワートはテネシー州アッシュランド・シティで生まれ、幼少期にケンタッキー州ルイビルに移り住みました。幼い頃からバンジョー、ピアノ、フィドル、ギターなど、様々な楽器に親しみ、その才能を開花させました。彼の愛称「レッド」は、その赤みを帯びた髪と顔色に由来します。音楽家としての才能に加え、ルイビルの自動車販売会社のためにジングルを手がけるなど、ソングライターとしての素質も早くから発揮していました。

プロとしてのキャリア

1937年、スチュワートはピー・ウィー・キングが率いるゴールデン・ウェスト・カウボーイズに加入。当時はエディ・アーノルドがリードボーカルを務めていました。第二次世界大戦中は南太平洋戦線に従軍し、軍曹に昇進。その際に書いた「Soldier's Last Letter」は、アーネスト・タブによって歌われ、1944年に大ヒットを記録しました。帰国後、スチュワートはキングのバンドに復帰し、ソロ歌手として独立したアーノルドの後を継いでリードシンガーを務めました。

キングとのコンビでは、「テネシーワルツ」の他にも、「ユー・ビロング・トゥ・ミー」など、数多くのヒット曲を世に送り出しました。「テネシーワルツ」は、1965年にテネシー州の歌の一つとして認定されるほどの国民的な人気を博しました。また、スチュワートはキングとともに、いくつかの映画にも出演し、俳優としての才能も披露しました。

他のアーティストへの楽曲提供

スチュワートは、自身の歌唱だけでなく、他のアーティストへの楽曲提供も積極的に行いました。ジム・リーヴスには「That's a Sad Affair」、ムーン・マリカンには「Downstream」や「When Love Dies Where Does it Go」を提供しています。「テネシーワルツ」はパティ・ペイジによって世界的な大ヒットとなり、ロイ・エイカフ、ルービン・ブラザーズ、ジェリー・リー・ルイス、エルヴィス・プレスリーなど、数多くのアーティストによってカバーされました。「ユー・ビロング・トゥ・ミー」も重要なスタンダード曲として、多くの人々に歌い継がれています。

晩年と遺産

1972年、スチュワートはナッシュビル・ソングライターの殿堂の創設委員の一人として、殿堂入りを果たしました。2003年8月2日、彼は1990年代初頭に起こした転落事故による合併症のため、ルイビルの病院で80歳で死去しました。

彼の死後も、「テネシーワルツ」は2004年にBMIから300万回放送賞を贈られるなど、その人気は衰えることを知りません。これは、バリー・マニロウの「歌の贈りもの」、フランク・シナトラの「マイ・ウェイ」、ハンク・ウィリアムズの「Your Cheatin' Heart」、エルヴィス・プレスリーの「ラヴ・ミー・テンダー」、ロジャー・ミラーの「King of the Road」などと並ぶ偉業です。同年には、Country Legends Hall of Fame と Traditional Country Music Hall of Fame にも殿堂入りし、2005年には、彼の生誕地であるアッシュランド・シティに「テネシーワルツ・パークウェイ」が開設されました。

レッド・スチュワートは、カントリー音楽の歴史に名を刻む、偉大なソングライターであり、パフォーマーでした。彼の残した音楽は、これからも多くの人々に愛され続けるでしょう。

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