レッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニー

レッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニーの概要

レッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニー（RED Digital Cinema Camera Company）は、2005年に設立され、カリフォルニア州レイク・フォレストに本社を置く企業です。創業者は、スポーツサングラスメーカーのオークリーを設立したジム・ジャナードであり、彼はカメラ愛好者でもありました。オークリーは2007年に約2000億円でルクソティカに売却され、ジャナードはデジタルカメラ事業に本腰を入れると宣言しました。

主な製品

REDの代名詞ともいえる「RED ONE」カメラは、4520×2540の解像度を誇ります。このカメラは、スーパー35mmサイズのCMOSセンサーを採用し、17500ドルという価格で市場に出回っています。この価格帯は、低予算の映画製作に最適な選択肢となっています。2008年4月には全米放送事業者協会（NAB）でその全貌が公開され、その高解像度が映画制作者たちの間で広く評価されました。

デジタルシネマの革新

REDのカメラは4K DCI（4096x2160）というデジタルシネマ規格に対応しており、発売当初から高画質での映像制作を可能にしました。ジム・ジャナードは、「Digital Still and Motion Camera」という新しいコンセプトでREDを開発しており、これは動画ではなく高解像度の静止RAW画像ファイルを連続的に撮影することを意味します。この技術では、RAW画像をそのまま利用することができ、ポスターや広告にも活用されています。

RAW画像は、センサーが捉えたデータを無圧縮で記録することが一般的ですが、REDは圧縮を行うことでデータ処理の効率を向上させています。また、高解像度のデータをリアルタイムで取り扱うためには、十分なスペックを持ったコンピュータが必要となります。これによって、映像の現像が必要となり、即座に放送することは難しくなりますが、映画製作においては非常に重要な工程です。

技術的な特長

RED ONEの技術仕様は、画角が24.4mm x 13.7mmの1200万画素CMOSセンサー（ブランド名：Mysterium）を使用しています。このセンサーは、ダイナミックレンジ66dBで、スーパー35フィルムと同じ画角を提供します。これにより、一般的な35mmフィルムカメラ用のレンズが使用可能です。

データ記録フォーマットは、4K RAW RedCodeと2K RAW RedCodeに対応しており、標準画質での撮影は行われず、高解像度での録画が原則です。このため、撮影時のクオリティを保持しながら、後で標準画質にダウンサンプルすることが可能です。

音声とレンズオプション

音声の録音は、非圧縮で24ビット、48KHzの仕様を採用しています。また、RED ONEカメラはArri PLレンズ規格に準拠しており、さまざまなレンズマウントに対応しています。これにより、多くの製品との互換性が確保されています。

レッド・レイ・プロジェクター

REDは、レッド・レイ・プロジェクターシステムも展開しています。これは、4Kの映像を高品質で上映できる圧縮アルゴリズム「レッド・レイ・コーデック」を用いています。このプロジェクターは、3Dの4K映像を120フレーム/秒で表示でき、映画館での高品質な上映を実現します。

REDの映像作品

REDの機材が使用された作品は数多く、洋画から邦画まで幅広く利用されています。特に、スティーヴン・ソダーバーグ監督の作品や、デヴィッド・フィンチャー監督の作品などでは、全編にわたりREDカメラが使用されています。これにより、レッドカメラの技術が業界標準となっていることが伺えます。

競合と今後の展望

レッドの台頭により、多くの競合企業も高解像度カメラを開発しています。ソニーやブラックマジックデザインをはじめとする企業が、さまざまな製品を市場に投入しています。レッド・デジタル・シネマカメラ・カンパニーは、今後も革新を続け、映画業界におけるデジタルカメラ技術の進化をリードしていくことでしょう。

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