レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳

レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳

『レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳』（原題：新精武門、英題：THE NEW FIST OF FURY）は、1976年に香港で制作された映画です。この作品は、名作『ドラゴン怒りの鉄拳』の直系の続編として位置付けられていますが、実際にはその製作には公式の許可が得られていませんでした。監督のロー・ウェイが独自の制作会社を設立し、自身の判断で制作したため、当初は複雑な扱いを受けていました。しかし、1993年以降、作品の権利がスターに移行したことにより、リーとジャッキー・チェンの世界的な名声も相まって正式に続編として認識されるようになりました。

映画のストーリーは、前作の主人公、チェン・チャンが亡くなった後、中国領内で日本人が残虐行為を繰り返す中で展開します。チェンの元恋人レイ（ノラ・ミャオ）が台湾に渡り、彼女の持ち物であるヌンチャクがスリによって盗まれます。このスリはアロン（ジャッキー・チェン）というキャラクターで、彼は日本の横暴に憤りを感じて精武館に入門します。物語では、アロンが武術に励む中で、チェンの影を追う様子が描かれています。

ジャッキー・チェンは、この映画で再デビューを果たし、彼のキャリアにとって重要な一歩となりました。彼は1974年に『ジャッキー・チェンの秘龍拳』に出演しましたが、その後は一時映画から離れていました。ロー・ウェイが彼に再びチャンスを与えることになり、これがチェンの芸名「成龍」の誕生につながります。ジャッキーは、演技の中でブルース・リーを意識した動作を取り入れつつ、彼自身のスタイルを確立していきました。

映画の公開は日本では劇場未公開でしたが、その後テレビ放送やビデオ、DVDなどでリリースされました。特にテレビ放送は1990年に行われ、元版の音楽が使用されるなど、オリジナルに近い形での放送が実現しました。しかし、日本語版のビデオソフトは多くのシーンがカットされた短縮版であり、音楽も置き換えられていたため、オリジナル版の魅力を十分に楽しむことは難しい状況でした。

キャストは多彩で、ノラ・ミャオや特にジャッキー・チェンの演技が記憶に残ります。映画の武道シーンやアクションは、当時の香港映画特有の迫力があり、東洋武術を駆使した激しい戦闘が展開されます。視覚的な楽しさだけではなく、ストーリーの力強いメッセージも本作の魅力の一つです。

『レッド・ドラゴン/新・怒りの鉄拳』は、後の香港アクション映画に多大な影響を与えた作品であり、ジャッキー・チェンのキャリアの中でも重要な一作として位置付けられています。多くのアクションファンにとって、この映画は忘れがたい作品となっており、その記憶に刻まれています。

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