レディ・ガイ

ウォルター・ヒル監督による2016年公開のアクション映画『レディ・ガイ』は、性別適合手術を受けた殺し屋の復讐劇を描いた異色作です。

主人公は、かつては冷酷な殺し屋として名を馳せていたフランク・キッチン。ある日、マフィアからの依頼でターゲットの暗殺を待つ身となっていたフランクは、依頼主の裏切りによって拉致監禁され、目を覚ますと女性の姿に変えられていました。

彼を女性に変えたのは、レイチェル・ジェーン医師。フランクは、レイチェルが2年前に襲撃され、違法手術の容疑で逮捕された医師であることを知り、その襲撃こそが、かつてフランクが殺害した男セバスチャンの姉による復讐であると悟ります。

レイチェルはボイスレコーダーにメッセージを残し、フランクに性別転換手術を行い、復讐の道具としたのです。フランクは怒りに燃え、まずは自分を変えたレイチェルの存在を突き止めようとします。

フランクは、元いたホテルに戻り、隠しておいた金を見つけると、かつて一緒に仕事をしたジョニーに接触。ジョニーは、レイチェルの監視役として送り込まれていたことが後に判明します。

ジョニーの協力を得つつ、フランクは依頼主であったオネスト・ジョンとその組織を次々と襲撃。オネストから、レイチェルが性別適合手術を繰り返しており、自身の従兄弟もかつてフランクに殺害されていたことを知ります。

オネストを殺害したフランクは、ジョニーから得た情報をもとに、レイチェルの助手であるアルバート・ベッカーに接触を試みますが、逆に薬で昏睡させられ、レイチェルの屋敷に監禁されます。

レイチェルはフランクに再び手術を施そうとしますが、フランクは隙を見て武装し、護衛たちを殺害。レイチェルを追い詰めます。しかし、フランクの狙いはレイチェルの殺害ではなく、彼女の肩を撃って犯行を偽装し、逃走することに成功。

レイチェルはその後、フランクの犯行を訴え続けますが、証拠不十分のため、事件はレイチェルの指示を受けたアルバートの犯行と見なされ、彼女は精神科病院へと送られます。

精神科病院で絶望するレイチェル。彼女の手は、親指以外が根元から切り落とされていました。これは、レイチェルが自身の手で実験を繰り返していた結果です。

ミシェル・ロドリゲスは、フランクと男性時代の姿を演じ分け、高い演技力を披露しています。シガニー・ウィーバー演じるレイチェルも、狂気に染まっていく様子を見事に表現し、作品に深みを与えています。

『レディ・ガイ』は、復讐、性別、アイデンティティといった重いテーマを扱いつつ、スリリングなアクションと予想外の展開で最後まで観客を魅了する、見応えのある作品と言えるでしょう。性別転換手術という過激な設定と、復讐劇という王道なストーリーを組み合わせた、非常にユニークな映画です。

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