レトーン

レトーンは、ギリシア神話に登場する女神レートーにその名を由来する、古代アナトリア地方リュキアの重要な聖域です。この遺跡は、隣接するクサントス遺跡とともに、1988年にユネスコの世界遺産に登録されました。現在のトルコ、アンタルヤ県に位置しています。

考古学的調査によれば、レトーン遺跡の起源は紀元前6世紀に遡るとされています。これは、古代ギリシアがこの地を支配下に置いた紀元前4世紀よりも前の時代です。この事実は、レトーンがギリシアの影響を受ける以前から重要な聖域であったことを示唆しています。

1962年には、ヘレニズム時代に建立されたレートー、アルテミス、アポロンの三柱の神殿が発掘されました。これらの神殿は、当時の宗教観や建築技術を今に伝える貴重な遺構です。レトーンで発見された数々の遺物の中でも特筆すべきは、古代ギリシア語、リュキア語、そしてアラム語で書かれた碑文です。これらの碑文は、リュキア語の解読において重要な役割を果たし、古代リュキアの歴史や文化を理解する上で欠かせない資料となっています。

レトーンは古代ローマ時代にもその重要性を保ち続け、活発な活動が見られました。ローマ帝国による支配下でも、聖域としての機能は維持され、人々の信仰の場所であり続けたと考えられます。その後、キリスト教が広まると、レトーンでも早期にキリスト教化が進み、遺跡の石材は教会の建設資材として利用されました。しかし、7世紀にはレトーン遺跡は放棄され、その歴史に幕を閉じることとなりました。

現在、レトーン遺跡は、古代リュキアの歴史と文化、そして古代地中海世界の宗教観を研究する上で非常に重要な遺跡となっています。その保存と研究は、現在も精力的に進められています。

外部リンク

UNESCO: Xanthos-Letoon
Xanthos-Letoon restoration project

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