レヒ川の戦い

レヒ川の戦いの概要

レヒ川の戦い（Schlacht bei Rain am Lech）は、1632年4月15日、三十年戦争中にドイツのレヒ川で繰り広げられた重要な戦闘です。スウェーデン軍とプロテスタント諸侯の連合軍は、神聖ローマ帝国軍と激闘を繰り広げました。この戦いでは、スウェーデン軍の指揮官グスタフ2世アドルフが勝利し、帝国軍指揮官のティリー伯ヨハン・セルクラエスは負傷し後に亡くなりました。

戦争の背景

三十年戦争は、1618年から1648年まで続いた宗教的・政治的な対立の結果、ヨーロッパ全体に広がる大規模な戦争です。この戦争はカトリックとプロテスタントの間の争いが中心ですが、複数の国と地域の利害が絡んでいました。スウェーデン軍は、1631年のライプツィヒ近郊のブライテンフェルトで帝国軍を撃退した後、急速に兵力を増強しました。

戦闘の展開

1631年9月にスウェーデン軍は、帝国軍を打ち破った後、バイエルン地方へ進出し、マインツで陣を構えました。ここでグスタフ・アドルフはプロテスタント諸侯と同盟を結び、その兵力は瞬く間に10万人にまで達しました。1632年に入ると、彼はティリー伯の攻撃を受けましたが、これを撃退し、敗走する敵軍を追い詰めてレヒ川の河畔で対峙しました。

4月15日、戦闘が始まります。グスタフ・アドルフは、自軍の位置が敵よりも高いことに注目し、百門の大砲を演習させました。序盤の戦闘でティリー伯は負傷し、指揮権がアルドリンガーに移りますが、まもなくアルドリンガーも傷を負います。これにより、バイエルン公マクシミリアン1世が指揮を引き継ぐことになります。

この戦闘では、フィンランド兵が大砲と煙幕の支援を受けてレヒ川を渡河し、皇帝軍へ強襲を行いました。次々に高級将校が負傷した帝国軍は、その指揮系統が混乱し、フィンランド兵の攻撃に耐えられなくなりました。さらにスウェーデン軍本隊が渡河してきたことで、がたがたの指揮系統に打撃を与え、マクシミリアン1世は撤退を命じるしかなくなります。

戦闘の結果

結果として、帝国軍は壊滅的な損害を受け、戦場を離れることを余儀なくされました。ティリー伯は重傷を負い、回復しないまま4月30日に亡くなります。この敗北は、カトリック側にとって痛手となり、神聖ローマ皇帝フェルディナント2世は狼狽し、以前に罷免したヴァレンシュタインを再任することを決断しました。

ヴァレンシュタインは独自の傭兵軍を指揮し、バイエルン軍を加えて戦線に復帰しますが、スウェーデン軍はさらに攻勢を強め、バイエルンへ向かいました。これにより、彼らは再びヴァレンシュタインと対峙することになったのです。

レヒ川の戦いは、三十年戦争の中での勝利として記憶され、戦争の結果にも大きな影響を与えました。

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