レピュテーション (ダスティ・スプリングフィールドのアルバム)

ダスティ・スプリングフィールド『レピュテーション』：再評価を決定づけたカムバック・アルバム

ダスティ・スプリングフィールドの12枚目のスタジオ・アルバム『レピュテーション』は、1990年6月にイギリスとヨーロッパでリリースされました。8年ぶりのアルバム・リリース、そして母国イギリスでのリリースは1979年以来という状況の中、このアルバムはスプリングフィールドにとって大きなカムバック作となりました。

背景：ペット・ショップ・ボーイズとの出会い

1987年、スプリングフィールドはペット・ショップ・ボーイズとのシングル「とどかぬ想い (What Have I Done to Deserve This?)」での共演をきっかけに、再びレコーディングの機会を求めイギリスへ戻ることを考え始めました。この曲は世界中で大ヒットし、スプリングフィールドにとってアメリカ合衆国における最大のヒット曲となりました。この成功によって自信を取り戻した彼女は、ペット・ショップ・ボーイズが彼女のために書き下ろした「ナッシング・ハズ・ビーン・プルーヴド (Nothing Has Been Proved)」もヒットさせました。この曲は、映画『スキャンダル』の主題歌として使用され、イギリスでトップ20入りを果たしました。さらに、「イン・プライヴェート (In Private)」もヒットし、イギリスで最高14位となりました。

制作：イギリスを中心としたレコーディング

アルバムのプロデュースは、主にペット・ショップ・ボーイズとジュリアン・メンデルソーンが担当し、イギリスを中心に18か月にわたってレコーディングが行われました。ペット・ショップ・ボーイズは、アルバム収録曲のほぼ半数でスプリングフィールドと共同作業を行っています。アルバム前半には、アンディ・リチャーズ、ポール・ステイヴリー・オダフィ、ダン・ハートマンが手がけた曲が収録されました。そのうち3曲は、ジュリアン・メンデルソーンがリミックスを担当しています。

内容：多様な音楽性とスプリングフィールドの歌声

『レピュテーション』は、ペット・ショップ・ボーイズによるシンセポップの要素と、スプリングフィールドのソウルフルな歌声が融合した作品です。ダン・ハートマンが提供した3曲は、彼のスタジオでレコーディングされ、スプリングフィールドの歌声の新たな魅力を引き出しています。アルバムには、「センド・イット・トゥ・ミー (Send It to Me)」、「時の流れに残されて (Time Waits for No One)」、「生まれたままで (Born This Way)」などが収録されています。

リリースと評価：再評価のきっかけ

アルバムはリリースから2週間で6万枚を売り上げ、チャートの18位まで上昇しました。これは、1970年代の『From Dusty With Love』以来のチャート成績と売り上げを記録するヒットとなりました。批評家たちは『レピュテーション』を高く評価し、スプリングフィールドにとって長い時間をかけてようやく報われた作品だと評しました。アルバムからはさらに、「レピュテーション (Reputation)」と「もう離れられない (Arrested by You)」がシングル・カットされました。

ビデオ集と再発

アルバムのリリース後には、ビデオ集『Reputation – The Videos』がリリースされ、プロモーション・ビデオやインタビューが収録されました。アメリカ合衆国では、1997年に4曲を追加した『Reputation and Rarities』としてリリースされました。2016年には、拡大版として、様々なミックスや未収録曲を含んだバージョンがリリースされています。

『レピュテーション』は、ダスティ・スプリングフィールドのキャリアにおいて、再評価のきっかけとなった重要なアルバムです。ペット・ショップ・ボーイズとのコラボレーションによって新たなファンを獲得し、彼女の歌声の魅力が再び注目を集めることとなりました。

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