レフ板

レフ板の概要

レフ板とは、撮影時に光を被写体に反射させるための板を指します。英語では "board reflector" と呼ばれており、乱反射鏡の一種でもあります。レフ板は主に写真、映画、テレビの撮影現場で使用されており、その名は、反射を意味するドイツ語「reflex」や「レフレックス」に由来しています。

レフ板の役割

撮影時には太陽光や人工照明といった光源が存在しますが、これらの直接光だけでなく、反射による間接光も重要です。この間接光を効果的に利用するためには、一定の反射率を持つ素材を適切な形状に加工しなければなりません。一般的には、シーツのような白い布や発泡スチロール板（カポック）が使用されますが、サイズが大きくなると、持ち運びやすさが求められるロケーションでは既製品のレフ板の方が便利です。

形状と素材

レフ板は多くの場合、金属または樹脂製の枠に反射材となる布が張り付けられています。多くのレフ板は分解や折り畳みが可能で、持ち運びに適した設計になっています。例えば、円形の丸レフは枠が柔軟で、ねじって折り畳むことができます。一方、四角形のロールレフは、4本の中空パイプで組み立てられており、必要ない時には分解して反射材の布を巻き取って収納できます。

使用される布の色は白、銀、金、青銀などさまざまで、反射率が高いものが好まれます。また、薄手の白い布は光を透過させるための素材としても使われます。特に、透過素材は強い日差しを柔らかくし、ムラを減少させますが、あるいは不透明な布を使って影を作ることもあります。

フレア対策

本来の用途とは少し異なりますが、カメラにレフ板をかざすことでフレアやゴーストといった有害光を遮ることも可能です。この手法は「ハレ切り」とも呼ばれています。

撮影時の実際の使用方法

特に野外でのポートレイト撮影では、被写体を太陽を背にした逆光の状態で配置し、後方からの光を前方で反射させることが多いです。これにより、強い陰影の発生を防ぎつつ、被写体の顔をしっかりと照らすことができます。また、レフ板によって生まれるキャッチライトが眼に映り込み、被写体の表情を活き活きと表現する効果もあります。この際、レフ板の形状は映像の印象にも影響を与えるため、慎重に選ぶ必要があります。

反射面の色の選択

反射版の色選びは、撮影の意図や光の状態により決められます。反射率が高い銀色は曇りの日に光を集めるのに役立つ一方、晴れた日は反射が強すぎて眩しいことがあります。モデルにとっては強い光が眩しく瞳孔が縮まってしまうため、この場合には反射率が低い白色を使うことで、柔らかい光を得ることが推奨されます。さらに、周囲の緑からの光の影響で色かぶりが起こる場合もあり、それに対処するために金色の反射面を用いるテクニックも存在します。

注意点

なお、同じ「レフレックス」という言葉から名前がついている一眼レフカメラの内部部品であるレフレックスミラーは、レフ板とは全く異なる用途のため誤用されることがあるので、注意が必要です。レフ板は間接光を作るための道具である一方、レフレックスミラーは光をファインダーに伝えるための部品です。

関連項目

レフ板の使用を日本映画に導入したことで知られる脚本家、ヘンリー・小谷の存在も注目です。彼の工夫によって、映像の表現が一層豊かになったことが伺えます。

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