レボチロキシン

レボチロキシン（Levothyroxine）

レボチロキシン、またはL-チロキシンは、甲状腺ホルモンの一種であり、主にT4として知られています。この薬は、甲状腺機能低下症の治療や甲状腺癌の予防に利用されることが多いです。レボチロキシンは、自然に存在するチロキシンのL-型で、過去には対掌体であるD-チロキシンも研究されていましたが、心毒性のために開発が中止されました。WHOの必須医薬品モデル・リストにも載せられています。

効能・効果

日本国内での承認された用途は、粘液水腫、クレチン病、甲状腺機能低下症、甲状腺腫、及び乳幼児甲状腺機能低下症など多岐にわたります。そして、甲状腺機能低下症の患者には生涯にわたってこの薬の投与が必要です。また、甲状腺刺激ホルモン（TSH）が低下している状態にも用いられ、さらに結節性甲状腺障害や甲状腺癌のケースでもその効果を発揮します。

作用機序

レボチロキシンは化学的に合成されたチロキシン（T4）であり、体内でL-トリヨードチロニン（T3）に変換されて効力を発揮します。これらのホルモンは細胞内の甲状腺受容体に結合し、DNAの転写や蛋白質合成を調整して、体内の代謝に寄与します。

禁忌

特に急性心筋梗塞を患っている場合、基礎代謝が増加することで心臓の負担が大きくなるため、レボチロキシンは禁忌とされています。他にも、製剤の成分に過敏な患者や甲状腺中毒症の患者には使用できません。また、副腎機能不全や嚥下困難な患者にも投与は避けるべきです。

副作用

レボチロキシンには重大な副作用が考えられますが、発生頻度は不明です。狭心症や肝機能障害、さらには副腎クリーゼなどが挙げられます。また、長期間TSHが抑制されると心臓関連の副作用や骨密度の減少が見られることがあります。多過ぎる投与量は甲状腺機能亢進症の症状を引き起こすこともあります。

薬物動態

レボチロキシンは経口投与後、消化管から40～80%吸収されます。空腹時にその吸収率は上昇しますが、特定の状態では低下することがあります。甲状腺ホルモンの99%以上は血漿蛋白質に結合し、遊離型ホルモンだけが活性を持ちます。

用量

投与量は患者の状態に応じて調整する必要があります。通常、レボチロキシンは空腹時に服用すべきで、毎日同じ時間に服用することが推奨されます。高齢者や心疾患のリスクがある患者には少量から開始することが望まれます。

妊娠中の使用

FDAの分類では、レボチロキシンは胎児に対する危険度が低いとされています。妊娠中に甲状腺機能低下症を治療するためには、服薬を続けることが勧められます。

小児への投与

小児に対する投与についても、年齢や体重に応じた考慮が必要です。目標は、精神的および肉体的発達を適切に維持することです。

まとめ

レボチロキシンは甲状腺機能低下症を治療するために重要な薬物であり、その作用や副作用についての理解が求められます。使用時には医師の指示に従うことが大切で、定期的な検査を通じて適切な用量の調整が必要です。

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