レリック (映画)

レリック（The Relic）

『レリック』は、1997年に公開されたアメリカ合衆国の劇場用映画です。作家ダグラス・プレストンとリンカーン・チャイルドによる同名小説を基に、ピーター・ハイアムズが監督を務めました。製作はゲイル・アン・ハードとサム・マーサー、脚本はエイミー・ジョーンズらが担当しています。クリーチャーパニックとホラーの要素を併せ持つ作品として知られます。

原作小説はシリーズ化されており、続編も発表されていますが、映画化されたのは本項目で扱う第1作のみです（2024年時点）。

ストーリー

物語は、シカゴのミシガン湖沖で発見された、血塗られた一隻の漂流船の調査から幕を開けます。船内には乗組員全員の無惨な遺体があり、いずれも頭部を激しく損傷し、脳下垂体だけが抜き取られているという猟奇的な共通点が見られました。

ほどなくして、同様の手口による連続殺人事件がシカゴ歴史博物館内で発生します。警察は一旦は容疑者を特定し事件解決を図りますが、捜査を担当するヴィンセント・ダガスタ警部補は疑念を拭えず、周囲の圧力に屈することなく単独での捜査継続を決意します。その頃、ブラジルのアマゾンで行方不明となっていた人類学者、ジョン・ホイットニー博士から、シカゴ歴史博物館へ謎めいた荷物が届きます。それは古代遺物の断片と、奇妙なカビが付着した植物の葉でした。

博物館の進化生物学者であるマーゴ・グリーン博士は、このカビに強い関心を抱き、詳細な解析を進めます。その結果、このカビにはウイルス性の酵素が含まれており、接触した生物の遺伝子構造を書き換える恐るべき作用があること、そしてヒトの脳下垂体から分泌されるホルモンを高濃度に含むことを発見します。このカビに寄生された生物は、遺伝子を組み換えられ、強烈な脳下垂体ホルモンへの渇望を持つ、爬虫類じみた異形に変貌を遂げるのです。これはブラジルの先住民、ゼンゼラ族に伝わる、カビを餌に古代人が生み出したとされる生物兵器「レリック（伝承ではコソーガ）」の伝説と不気味なほど酷似していました。

博物館が大規模な記念式典を控える中、ダガスタ警部補は事件の真相を追い、博物館の地下に広がる廃坑道で、異様な生物の巣を発見します。時を同じくして、凶変したレリックが博物館の警備システムを襲撃。これにより博物館全体が封鎖され、外部から完全に孤立してしまいます。レリックが獲物を求め館内を徘徊する中、ダガスタ警部補とマーゴ博士、そして閉じ込められた人々は、この古代の殺人獣から逃れ、閉鎖空間からの脱出を試みる、絶望的な一夜に立ち向かうことになります。

登場人物（映画版）

マーゴ・グリーン博士: シカゴ歴史博物館に勤務する進化生物学者。ホイットニー博士の荷物に含まれるカビを分析し、事件の真相に迫る鍵を握ります。
ヴィンセント・ダガスタ警部補: 連続殺人事件の捜査を担当。迷信深い一面を持ちながらも、事件の不審な点に気づき、執拗な捜査を続けます。
アルバート・フロック博士: シカゴ歴史博物館の館長。ダガスタ警部補と同様に迷信家です。
グレッグ・リー博士: 分子生物学者。マーゴ博士のライバル的存在です。
ジョン・ホイットニー博士: アマゾンで古代種族を調査中に消息不明となる人類学者。博物館への荷物の送り主です。
ブルース・ホリングワース刑事: ダガスタ警部補の右腕的存在ですが、彼の迷信を軽視する傾向があります。

その他、博物館学芸員、警備員、パーティー出席者、警察官などが登場し、閉鎖された博物館での恐怖劇が展開されます。

スタッフ

監督：ピーター・ハイアムズ
製作：ゲイル・アン・ハード、サム・マーサー
製作総指揮：マーク・ゴードン、ゲイリー・レヴィンソン
原作：ダグラス・プレストン、リンカーン・チャイルド
脚本：エイミー・ジョーンズ、ジョン・ラッフォ、リック・ジャッファ、アマンダ・シルヴァー
撮影：ピーター・ハイアムズ
音楽：ジョン・デブニー
編集：スティーブン・ケンパー
美術：ジェームズ・ムラカミ、エリック・オルボム
クリーチャーエフェクト：スタン・ウィンストン

本作のクリーチャー造形は、特殊効果の巨匠スタン・ウィンストン率いるチームが手掛けており、その圧倒的な存在感が恐怖を煽ります。

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