レントキル・イニシャル

レントキル・イニシャル：グローバル衛生・害虫駆除企業の軌跡

レントキル・イニシャル（Rentokil Initial plc）は、イギリスを拠点とする多国籍企業であり、世界90カ国以上で害虫駆除や衛生・ウェルビーイングサービスを提供しています。その歴史は、1925年、ハロルド・マクスウェル・レフロイがロンドンのウェストミンスター宮殿のシバンムシ駆除を機に設立したレントキル社に遡ります。当初は「エントキル」を予定していましたが、商標登録の関係で「レントキル」に。

1927年、デンマークの害虫駆除会社British Ratin（後にBritish Latin）が設立されました。ネズミ駆除を主業務としていましたが、事業は昆虫駆除にも拡大。1940年には初の買収を行い、1957年にはレントキル社を買収し、1960年に社名をレントキル・ラボラトリーズに変更。その後、成長を続け、1969年にはロンドン証券取引所に上場を果たしました。

1990年代後半まで、ソフス・ベレンセン社がレントキル・グループの株式の50%を保有していました。この時代、同社は当時のCEO、クライヴ・トンプソン卿の下、毎年約20%の成長を達成し、「英国で最も賞賛される企業」にも選ばれました。

1996年、レントキル・グループはBET plcを買収し、社名をレントキル・イニシャルに変更しました。これはBET plcが有していた洗濯・トイレ環境事業に由来します。BET plcはかつてタオルレンタル事業を展開しており、すべてのシーツとタオルに頭文字を付けていたことから、「イニシャル」という名称が採用されました。

2000年代以降も、レントキル・イニシャルは積極的な買収と事業再編を続けました。CEO交代やオフィス移転、事業統合、売却などを経ながら、着実に事業領域を拡大。アメリカ市場への進出も成功させ、家庭用害虫駆除市場で大きなシェアを獲得しました。

2006年には、英国のイニシャルランドリー事業を閉鎖。老朽化した施設の近代化コストの高さが理由でした。一方、レントキル・トロピカル・プランツ事業はアンビウスとしてリブランディングされ、国際的なブランドへと成長しました。

近年では、デジタルイノベーションへの投資にも力を入れています。害虫駆除システム「RADAR」や「PestConnect」を開発し、英国女王賞を受賞するなど高い評価を得ています。また、環境保護活動にも取り組み、カーボンフットプリント削減を目指しています。2021年には、ターミニックス社の大規模買収を発表し、更なる成長戦略を展開。2023年には売上高が大幅に増加し、更なる成長が期待されています。

レントキル・イニシャルは、害虫駆除事業を主軸にしながら、衛生管理、ウェルビーイングサービスなど事業領域を広げ、世界を舞台に活躍する企業です。

日本カルミック株式会社

日本では、共立製薬との合弁会社である日本カルミック株式会社が事業を展開しています。1969年に設立され、当初はオフィストイレ用サニタイザーや芳香器のレンタルサービスが中心でした。1992年にレントキル・グループが株式を取得し、現在はサニタイザーやサニタリーボックスのレンタル、環境衛生診断、設備メンテナンスなどを手掛けています。

日本カルミック社の社名「CALMIC」は、かつて同社の本社として使用されていたCrewe Hallという邸宅に由来します。この邸宅は、第二次世界大戦中には軍事施設として使用され、その後、カルミック社がオフィスとして借り受けたことから、社名に用いられました。CALMICはCheshire and Lancashire Medical Industries Corporationの略称であり、当初は衛生・医療製品の製造も行っていました。その後、ウェルカム財団を経て、現在に至ります。

レントキル・イニシャルは、世界規模での事業展開と積極的な買収戦略を通じて、常に進化を続けるグローバル企業です。その歴史と取り組みは、現代企業の成長戦略を考える上で、重要な示唆を与えてくれます。

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