レ・ネグレッセ・ヴェルテ

レ・ネグレス・ヴェルト

レ・ネグレス・ヴェルト（Les Négresses vertes）は、1987年にフランスのパリ郊外で誕生したロックバンドです。バンド名は「蒼ざめた黒人女」という意味を持ち、独特のスタイルで音楽シーンに新風を吹き込みました。彼らの音楽は、パンク、ロマ音楽、ミュゼット、アイリッシュ・トラッドなどの多様な要素を融合させたもので、聴く者を惹きつける力があります。

結成とメンバー

このバンドは、エルノ、ムリーノ、マシューを中心に結成されました。エルノは、パンクバンド「レ・ベルリエ・ノワール」のコーラス歌手であり、ムリーノは漁師として網を作っていました。マシューはサーカスの勤務経験があり、そこでロマ音楽に触れる機会を得ました。彼らの生まれ故郷はサン＝トゥアンで、メンバーのほとんどは南フランスから来ています。興味深いことに、結成当初はロマのメンバーは不在でしたが、マシューの音楽的なバックグラウンドがバンドの音楽スタイルに影響を与えました。

彼らは、スペイン人、イタリア人、アルジェリア人、ポーランド人など異なる民族的背景を持つメンバーで構成されており、これが彼らの音楽に多様性を与えています。また、結成当初はほとんど音楽経験のなかったメンバーも多かったため、独自のスタイルを模索しながら進んでいったのでしょう。

演奏する場所の確保に苦労し、本格的なコンサートデビューが行われたのは、最初のアルバム「MLAH」がリリースされてから2ヶ月後となりました。このデビューアルバムは、グループの名を広める重要な一歩となりました。

様々な影響

彼らの音楽には、ロマ音楽やケイジャン音楽、さらにはアイリッシュ・トラッドの影響が色濃く出ています。音楽ジャンルを超えて広がるそのスタイルは、聴く者にダンスをも誘発する非常に楽しいもので、ライブパフォーマンスでは観客との一体感を生み出しました。

エルノの死と活動の継続

1993年1月22日、リードボーカルのエルノがパリで亡くなりました。死因は過剰薬物摂取とされていますが、依然としてその真相には謎が残っています。エルノの死後、バンドは新たなボーカルを迎えることはせず、残されたメンバーが引き続き活動を続けました。このことで彼らは一時的に困難な状況に直面しましたが、団結力の強さがその後の活動を支える要因となったのです。

ディスコグラフィー

レ・ネグレス・ヴェルトのスタジオアルバムには、次のような作品があります。

• - 1988年: MLAH
• - 1991年: Famille nombreuse
• - 1995年: Zig-zague
• - 1999年: Trabendo

さらに、ライブアルバムやベスト盤もリリースされ、彼らの音楽を後世に伝え続けています。特に、1996年にリリースされたセルジュ・ゲンズブールとのコラボレーションによる楽曲は、彼らの独自の音楽スタイルを強調しています。

レ・ネグレス・ヴェルトは、フランスの音楽シーンにおいて独特の存在感を放ち続けており、彼らの音楽はまだ多くの人々に影響を与えています。

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