レーザーポインター

レーザーポインターとは

レーザーポインターは、主に半導体レーザーを利用した指示具で、現代社会においてプレゼンテーションや教育の場で広く利用されています。印刷物やプロジェクターで表示された図、映像などを正確に指し示すために用いられ、多くの製品が乾電池や二次電池を電源として動作します。

利点

レーザーポインターは、指し棒と同様の用途で使われることが多いですが、指し棒と比較して以下のような利点があります。

視認性の高さ: 暗い場所でも照射箇所が明確に分かり、プロジェクターを用いたプレゼンテーションに適しています。ただし、強い照明や直射日光下では高輝度製品でないと見えにくい場合があります。
指示範囲の広さ: 指し棒では届かない遠距離も指示可能です。レーザーポインターは、300m先でも指示できる製品が存在し、指し棒のように長さや重さに悩まされることはありません。
危険な場所でも使用可能: 高温・低温の場所や、回転している物体など、手や指し棒で触れることが危険な場所でも安全に指示ができます。
携帯性と操作性: かつては大型で重く、AC電源が必要でしたが、技術の進歩により小型・軽量化が進み、乾電池で動作する製品が主流になりました。これにより、携帯性と操作性が向上し、広範囲を容易に指示できます。

光強度とクラス

レーザーポインターは、光の強度によってクラス分けされています。これは、レーザー光が持つエネルギーの危険度を示すもので、クラスごとに安全基準が設けられています。

クラス1: 出力は0.2mW程度で、100秒間直視しても安全とされるレベルです。主に玩具に使用されます。
クラス2: 出力は1mW未満で、0.25秒未満の直視であれば問題ないとされます。プレゼンテーション用として一般的です。日本では、2001年以降、これ以上の出力を持つレーザーポインターの製造・販売は法律で禁止されています。
クラス3A: 法規制以前に販売されていた製品で、瞬きなどで回避できる場合がありますが、望遠鏡などで直視すると目に損傷を与える可能性があります。
クラス3B: 出力は500mW以下で、光の直視は絶対に避けるべきです。
クラス4: クラス3Bを超える出力で、直視だけでなく反射光でも目に悪影響があり、皮膚障害や発火の危険性もあります。


日本では、JIS規格に基づいてレーザー製品のクラス分けがされており、法規制もこの基準に準拠しています。海外製品については、同じクラス表示でも光の強度が異なる場合があるので注意が必要です。

発光色

レーザーポインターの色は、光の波長によって決まります。主な発光色は以下の通りです。

赤色レーザー (635～690nm): 製造が容易で、標準的に普及しています。ただし、明るい場所では視認性が低下する場合があります。635nmの製品は、プロジェクターの映像とコントラストがとりやすいとされます。
緑色レーザー (532nm): 赤色レーザーよりも視認性が高く、プレゼンテーションなどでよく利用されます。ただし、赤色レーザーよりも高価で、温度変化に影響を受けやすいというデメリットがあります。

日本の法律による規制

過去に、高出力のレーザーポインターが玩具として流通し、事故が多発したことから、日本では2001年に消費生活用製品安全法が改正され、レーザーポインターの安全基準が厳格化されました。主な規制内容は以下の通りです。

製品の大きさ: 全長8cm以上、重量40g以上。
出力: 最大出力1mW未満（JIS規格クラス1～2）。玩具用はクラス1のみ。
電池: 単3、単4、単5形のみ使用可能。ボタン型電池は不可。
安全機能: 出力安定回路、手を離すと消灯するスイッチ、通電状態確認機構の搭載。
PSCマーク: 第三者検査機関による適合性検査に合格した製品に表示。

これらの規制により、以前のような小型で高出力の危険な製品は市場から排除され、安全な製品が入手できるようになりました。しかし、法規制をすり抜ける形で、違法な製品が一部市場で流通しているのも事実です。

レーザーポインターを巡る事件

レーザーポインターの普及に伴い、悪戯や事件も発生しており、社会問題となっています。

コンサート: 出演者への照射事件が発生しています。
プロ野球: 選手への照射事件が複数発生し、問題となりました。
サッカー: 試合中に選手への妨害行為として使用されています。
競馬: 競走馬を狙った使用が危惧されています。
航空機: 航空機への照射は、誤射による事故やテロの危険性から問題視されています。航空法でも規制されています。
新幹線: 運行中の新幹線への照射も報告されています。
公共交通: 路線バス運転手への照射も確認されています。

これらの事件を受け、レーザーポインターの出力制限や使用規制が強化されています。

製品のバリエーション

レーザーポインターは、単なる点を指示するだけでなく、さまざまな機能を持つ製品が登場しています。

パソコン連携タイプ: プレゼンテーションソフトの操作や、マウスの代わりとして使用できるタイプです。
照射形状可変タイプ: 線や楕円など、照射形状を変更できるタイプです。
リモコン一体型: プロジェクターのリモコン機能と一体化した製品です。
* 筆記用具一体型: ペンなどの筆記用具と一体化した製品です。ただし、日本では法規制により普及していません。

まとめ

レーザーポインターは、便利な道具である一方、誤った使い方をすると危険な側面も持ち合わせています。日本では、安全基準を満たした製品が販売されていますが、違法な製品も流通しているため、購入時には注意が必要です。また、公共の場所での使用は、他人に迷惑をかけるだけでなく、重大な事故につながる可能性もあるため、使用する際は十分な注意が必要です。

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