レ＝ザンドリ

レ・ザンドリについて

レ・ザンドリ（Les Andelys）は、フランスのノルマンディー地域圏、ウール県に位置するコミューンです。セーヌ川が大きく蛇行する地点にあり、緑豊かな谷の中に町が広がっています。パリから約100km、ルーアンからは約40kmの距離にあります。

この地は歴史的に重要な場所で、レ・ザンドリ参事会聖堂やガイヤール城などの歴史的建造物が残っており、多くの観光客が訪れます。コミューン名であるレ・ザンドリは、プティ・タンドリ（Petit Andelys）とグラン・タンドリ（Grand Andelys）という二つの町が統合されたことによって生まれました。

セーヌ川の丘陵地帯に位置するレ・ザンドリは、独特の植生を持っており、ナチュラ2000という自然保護地域にも指定されています。

歴史

レ・ザンドリの歴史は非常に古く、新石器時代中期には既に人が定住していたことが、考古学的発掘によって明らかになっています。ガロ＝ローマ時代の劇場跡も発見されており、この地域がローマ化の影響を受けていたことが伺えます。この地域にはウェリオカス族というガリア人が住んでいましたが、彼らは次第にローマ文化を受け入れていったと考えられています。

10世紀以降には、アングロ・スカンディナビア人の小さな植民地が作られました。これは、当時の地名に古英語や古ノース語が残っていることからもわかります。例えば、現在のオーグの森は、ノース語で「丘」や「森のある丘」を意味する「haugr」という言葉に由来しています。

レ・ザンドリはかつてルーアン大司教の領地でしたが、1197年にノルマンディー公リシャール（イングランド王リチャード獅子心王）に割譲され、その後、フランス王フィリップ2世が獲得しました。

18世紀には、レ・ザンドリ子爵領が設置され、様々な貴族によって統治されました。現在では、ブルボン＝オルレアン家がレ・ザンドリ子爵の称号を継承しています。

ガイヤール城

レ・ザンドリの最も重要な歴史的建造物の一つが、ガイヤール城です。この城は、セーヌ川を見下ろす崖の上に建てられており、その眺望は非常に素晴らしいものです。

12世紀後半、ノルマンディー公国はイングランド王家であるプランタジネット家の支配下にありました。当時、フランス王国はセーヌ川とその周辺の豊かな土地を狙っており、ノルマンディー公たちは、フランスとの国境に一連の城を築き、戦略的要所を守ろうとしました。

リチャード獅子心王は、1196年にガイヤール城の建設を開始しました。この城は難攻不落であると考えられており、フランス艦隊がセーヌ川を下るのを防ぐために、川床に杭が打ち込まれました。伝説によると、ガイヤール城はわずか1年で完成したと言われています。

しかし、リチャード王の死後、フランス王が遠征を指揮し、1204年にガイヤール城を落城させました。この落城は、ノルマンディー公国に大きな衝撃を与え、その結果、首都ルーアンも陥落し、ノルマンディー公国の独立は終わりを告げました。

その後、ガイヤール城は牢獄としても使用されましたが、百年戦争中にはイングランド軍によって制圧されました。

現在、修復されたガイヤール城は、その歴史を今に伝える重要な観光地となっています。

姉妹都市と出身者

レ・ザンドリは、ドイツのハルゼヴィンケルと姉妹都市提携を結んでいます。

また、レ・ザンドリ出身の著名人としては、画家ニコラ・プッサン、気球乗りジャン＝ピエール・ブランシャール、画家シャルル・シャプランなどが挙げられます。

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