ロイテンの戦い

ロイテンの戦い：フリードリヒ大王の戦術が光る会戦

ロイテンの戦い（1757年12月5日）は、七年戦争中、フリードリヒ大王率いるプロイセン軍が、数的に優勢なオーストリア軍に対して決定的な勝利を収めた戦いです。この戦いは、プロイセンによるシュレージエン支配を確立する上で重要な役割を果たしました。

背景：外交革命とシュレージエン

七年戦争は、オーストリア継承戦争の延長線上にありました。プロイセンはシュレージエンを獲得しましたが、オーストリアは奪回を狙っていました。当時のヨーロッパは、長年の対立関係にあった国々が同盟を結び直す「外交革命」の時代でした。フランスはオーストリアと同盟を結び、イギリスはプロイセンと同盟を結びました。フリードリヒ2世は先制攻撃としてザクセンに侵攻し、プラハの戦いでオーストリア軍を破りましたが、その隙にオーストリア軍はシュレージエンを奪還しました。

戦いの経緯：地形と陽動作戦

プロイセン軍はロイテン近郊でオーストリア軍と対峙しました。フリードリヒ大王は、地形を熟知しており、低い丘陵を利用して軍の配置を隠蔽しました。彼は陽動作戦を展開し、オーストリア軍の注意をそらしつつ、主力部隊を敵の弱点に集中させました。オーストリア軍はプロイセン軍の動きに翻弄され、戦線を大きく広げてしまいました。

斜行戦術と奇襲

プロイセン軍は、丘陵地帯に隠れて南へ進軍し、オーストリア軍の左翼に回り込みました。そして、オーストリア軍の戦線に対してほぼ直角に、2列から3列の戦列を形成して奇襲を仕掛けました。プロイセン軍の砲兵は、バターベルクの丘に陣取り、歩兵の攻撃に合わせて砲撃を開始しました。

戦闘の激化

奇襲を受けたオーストリア軍は混乱し、戦線を維持できませんでした。プロイセン軍はロイテンの村を制圧し、白兵戦が繰り広げられました。オーストリア軍は砲兵で反撃を試みましたが、プロイセン軍の重砲によって制圧されました。オーストリア軍の騎兵隊はプロイセン軍の側面に突撃しましたが、プロイセン騎兵隊の反撃を受け、壊滅しました。

戦いの結果：プロイセンの勝利と影響

ロイテンの戦いは、プロイセン軍の圧勝に終わりました。オーストリア軍は2万人以上の損害を出し、多数の捕虜を出しました。プロイセン軍の損害も小さくはありませんでしたが、この勝利によってシュレージエンの支配を確立しました。カール公子は解任され、レオポルト・フォン・ダウンが後任となりました。

この戦いは、フリードリヒ大王の戦術的な才能を示すものであり、彼の軍事的評価を確立する上で重要な役割を果たしました。ナポレオン・ボナパルトはロイテンの戦いを「機動、決断の傑作」と評しました。

戦いの分析：オーストリア軍の失策

オーストリア軍は、プロイセン軍の動きを偵察するための十分な偵察活動を行いませんでした。また、プロイセン軍の陽動作戦に惑わされ、戦線を不必要に広げてしまいました。さらに、南側の側面に十分な防御を配置せず、プロイセン軍の奇襲を許してしまいました。

その後の展開：ダウンの戦略と戦争の長期化

ロイテンの戦いの後、オーストリア軍はプロイセン軍との正面衝突を避け、防御的な戦略を採用しました。フリードリヒ大王はロシア軍の侵攻に対応するため、北方へ転進しました。七年戦争はその後も長く続き、ヨーロッパの勢力図に大きな影響を与えることになりました。

ロイテンの戦いは、フリードリヒ大王の軍事的才能とプロイセン軍の精強さを示す象徴的な戦いとして、軍事史にその名を刻んでいます。

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