ロイヤル・アルバート・ホール (アルバム)

ボブ・ディラン『ロイヤル・アルバート・ホール』

『ロイヤル・アルバート・ホール』（The Bootleg Series Vol. 4: Bob Dylan Live 1966, The "Royal Albert Hall" Concert）は、ボブ・ディランが1966年に行ったライブを収録したアルバムです。1998年にリリースされたこのアルバムは、公式には未発表だった音源を収めた『ブートレッグ・シリーズ』の第4弾として登場しました。

アルバムの背景

このアルバムは、1966年5月17日にイギリスのマンチェスターにあるフリー・トレード・ホールで行われたライブを収録しています。しかし、海賊盤が出回った際、1966年5月26日のロイヤル・アルバート・ホールでの演奏と誤って伝えられたため、「例の『ロイヤル・アルバート・ホールでのコンサート』」という意味を込めて、アルバムの原題は『The "Royal Albert Hall" Concert』とクォーテーションマーク付きで表記されています。

ライブの構成と観客の反応

1965年9月から1966年5月にかけて行われたディランのワールド・ツアーは、前半がアコースティック・[[ギター]]による弾き語り、後半はホークス（後のザ・バンド）をバックバンドに従えたエレクトリック・[[ギター]]によるロックという構成でした。当時、ディランのフォークスタイルを愛好していたファンの中には、後半のエレクトリック・サウンドに反発する人も多く、各地の公演でブーイングや野次が飛び交いました。

歴史的な瞬間

このアルバムには、その緊迫した様子が記録されています。特に、最後の曲「ライク・ア・[[ローリング・ストーン]]」の演奏前には、観客の一人が「ユダ！」と叫び、他の観客もそれに同調するような拍手を送っています。さらに別の観客が「お前なんか、今後二度と聴かないぞ！」と叫ぶと、ディランは「お前のことは信じない」と応じ、しばらく沈黙した後「お前は嘘つきだ」と言い放ちます。そして、バックバンドに「やかましく演奏しよう」と指示し、演奏がスタートします。この一連の出来事は、ディランのキャリアの中でも特に象徴的な瞬間として知られています。

映画での扱い

この出来事は、2005年の映画『ノー・ディレクション・ホーム』のエンディングでも取り上げられ、当時の映像とともに紹介されています。映画を見た人にとっては、このアルバムのライブ音源がさらに特別な意味を持つでしょう。

評価

『ローリング・ストーン誌が選んだオールタイム・ライヴ・アルバム50』では、このアルバムは9位にランクインしており、音楽史に残る重要なライブ盤として高く評価されています。

収録曲

Disc 1（ソロ・アコースティック）

1. シー・ビロングズ・トゥ・ミー - She Belongs to Me
2. フォース・タイム・アラウンド - 4th Time Around
3. ジョアンナのヴィジョン - Visions of Johanna
4. イッツ・オール・オーバー・ナウ、ベイビー・ブルー - It's All Over Now, Baby Blue
5. 廃墟の街 - Desolation Row
6. 女の如く - Just Like a Woman
7. ミスター・タンブリン・マン - Mr. Tambourine Man

Disc 2（エレクトリック・バンド）

1. テル・ミー・ママ - Tell Me, Momma
2. アイ・ドント・ビリーヴ・ユー - I Don't Believe You (She Acts Like We Never Have Met)
3. 連れてってよ - Baby, Let Me Follow You Down
4. 親指トムのブルースのように - Just Like Tom Thumb's Blues
5. ヒョウ皮のふちなし帽 - Leopard-Skin Pill-Box Hat
6. いつもの朝に - One Too Many Mornings
7. やせっぽちのバラッド - Ballad of a Thin Man
8. ライク・ア・[[ローリング・ストーン]] - Like a Rolling Stone

参加ミュージシャン

ボブ・ディラン - ギター、ハーモニカ、ピアノ、ボーカル
ロビー・ロバートソン - ギター
リック・ダンコ - ベース、ボーカル
リチャード・マニュエル - ピアノ、キーボード
ガース・ハドソン - オルガン、キーボード
ミッキー・ジョーンズ - ドラムス、パーカッション

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