ロイヤル・コレクション

ロイヤル・コレクションについて

ロイヤル・コレクションは、イギリス王室が所有する美術品の膨大なコレクションです。このコレクションは、イギリス王室の私的財産であるため、特定の機関が管理しており、英国王立所蔵品協会がその責任を担っています。協会は、コレクションの保存や分類、修復、さらに展示の準備を行っていますが、これはあくまで美術品に関するもので、建物の管理は含まれていません。ロイヤル・コレクションは、約399人の専門スタッフによって運営されており、2009年度には収益が2642万ポンド以上に達したとされています。

コレクションの概要

ロイヤル・コレクションは、7,000点以上の絵画、40,000点以上の水彩画やドローイング、そして150,000点以上の版画を含む非常にバラエティに富んだ品々が収蔵されています。また、歴史的意義のある写真やタペストリー、家具、陶磁器、書籍なども多数含まれており、総額は推定3600億ポンドにものぼります。これらの美術品は、一般公衆に公開されている施設であるハンプトン・コート宮殿やウィンザー城をはじめとしたいくつかの場所に保管されています。

ロンドンのバッキンガム宮殿内に位置するクイーンズ・ギャラリーでは、ロイヤル・コレクションの一部を定期的に展示しており、エディンバラのホリールード宮殿にも同様のギャラリーがあります。これにより、訪れる人々は美術品を間近で体験することができます。

歴史的背景

ロイヤル・コレクションの歴史は、16世紀のイングランド王、ヘンリー8世にさかのぼりますが、彼以前の美術品はほとんど残っていません。特に、イタリア・ルネサンスの絵画を熱心に集めたチャールズ1世は、コレクションの発展に寄与しました。しかし、1649年に彼が処刑された際、コレクションは売却されてしまいます。その後、1660年に王政復古が成り立った際に、チャールズ2世が多くの作品を取り戻しました。

近代の発展

近代においては、女王エリザベス2世の時代に新たな重要な美術品が加わり、特にカナダや他国郡からの遺贈が増えました。また、1962年にはクイーンズ・ギャラリーが開設され、コレクションが一般に公開されるようになり、1993年にロイヤル・コレクション・トラストが設立されたことで、より近代的な管理が導入されました。

主なコレクション

コレクションには、多種多様な作品が含まれ、特に絵画、版画、ドローイングは非常に豊富です。作品は、アングロアメリカ、オランダ美術、イギリス美術、フランドル美術、フランス美術、ドイツ美術、イタリア美術といった様々なジャンルに分類されています。収蔵品の中には、ウィリアム・ホガース、ジョージ・スタッブス、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ピーテル・ブリューゲルなど、多くの著名なアーティストの作品が揃っています。さらに、彫刻やタペストリー、陶磁器など、工芸品も充実しており、特にフランスのセーブル製陶所やファベルジェによる作品は、有名なコレクションの一部です。

このようにロイヤル・コレクションは、イギリスの文化的遺産を体現しているだけでなく、世界中の人々に歴史的かつ美術的な経験を提供し続けている貴重な資源です。

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