ロイヤル・スコットランド連隊

ロイヤル・スコットランド連隊：スコットランドの精鋭歩兵

ロイヤル・スコットランド連隊（Royal Regiment of Scotland）は、スコットランドに拠点を置く歩兵連隊であり、イギリス陸軍の中でも大規模な連隊の一つとして知られています。この連隊は、かつて存在した14のスコットランド歩兵連隊が統合を重ね、2006年に新たな形として編成されたものです。そのルーツは17世紀にまで遡り、数々の戦地でその名を轟かせてきました。

連隊の沿革

ロイヤル・スコットランド連隊は、スコッツガーズを除く16のスコットランド歩兵連隊を源流としています。これらの連隊は、幾度の統合を経て9個連隊に再編され、1968年にスコットランド師団の傘下に入りました。しかし、同年にはキャメロニアン（スコットランド・ライフル）連隊が廃止されるなど、変遷の歴史を辿ります。

その後も統合は進み、ロイヤル・スコッツ、キングズ・オウン・スコティッシュ・ボーダラーズ、ロイヤル・ハイランド・フュージリアーズ、ブラックウォッチ、ハイランダーズ、アーガイル・アンド・サザーランド・ハイランダーズの6個連隊へと集約されました。そして2006年、これらの連隊が予備役連隊である第51ハイランド・ボランティアーズと第52ローランド連隊と統合され、5個の正規歩兵大隊と2個の予備役大隊から成るロイヤル・スコットランド連隊が誕生しました。

連隊の概要

ロイヤル・スコットランド連隊のカーネル・イン・チーフ（Colonel-in-Chief）は、イギリス国王チャールズ3世が務めています。その下には、将官の名誉職として連隊長（Colonel）が置かれ、さらにカーネル・イン・チーフの補佐として、王族の代表であるリプレンゼンタティブ・カーネル（Representative Colonel）が各大隊に配置されているのが特徴です。

連隊本部はスコットランド南東部のエディンバラに位置するエディンバラ城にありますが、連隊のスタッフはバーウィック・アポン・ツイード、グラスゴー、パースなど、各地に分散して配置されています。募兵地域はスコットランド全域に及び、各大隊がそれぞれの担当地域を分割して受け持っています。

軍楽隊

ロイヤル・スコットランド連隊には、陸軍音楽軍団（Corps of Army Music）に所属するロイヤル・スコットランド連隊軍楽隊があります。この軍楽隊は、陸軍音楽学校を母体とし、陸軍の各連隊や兵科軍団の軍楽隊を統合して編成されたものです。エディンバラ城で開催されるミリタリー・タトゥーでは、中心的な役割を担っています。また、これとは別に、各大隊にはドラム隊とバグパイプ隊が配置されています。

大隊編成

ロイヤル・スコットランド連隊は、以下の5つの正規歩兵大隊と2つの予備役大隊で構成されています。

第1大隊 ロイヤル・スコッツ・ボーダラーズ（Royal Scots Borderers）：軽歩兵。帽子の羽根飾りは黒。
第2大隊 ロイヤル・ハイランド・フュージリアーズ（Royal Highland Fusiliers）：軽歩兵。帽子の羽根飾りは白。
第3大隊 ブラックウォッチ（Black Watch）：軽歩兵。帽子の羽根飾りは赤。
第4大隊 ハイランダーズ（Highlanders）：機械化歩兵。帽子の羽根飾りは青。
第5大隊 アーガイル・アンド・サザーランド・ハイランダーズ（Argyll and Sutherland Highlanders）：空中強襲歩兵。帽子の羽根飾りは緑。
第6大隊 第52ローランド（52nd Lowland）：軽歩兵。帽子の羽根飾りは中隊毎に規定。
* 第7大隊 第51ハイランド・ボランティアーズ（51st Highland Volunteers）：帽子の羽根飾りは中隊毎に規定。

これらの大隊は、スコティッシュ師団または国防義勇軍の管理下に置かれ、それぞれの任務に応じて旅団に配属されます。第1から第3大隊は軽歩兵、第4大隊は機械化歩兵、第5大隊は空中強襲歩兵として、多様な役割を担っています。

統合された連隊の歴史

ロイヤル・スコットランド連隊の各部隊は、それぞれが長い歴史と伝統を受け継いでいます。例えば、ロイヤル・スコッツ連隊（第1連隊）は、1633年に創設されたサー・ジョン・ヘプバーン連隊を起源とし、数々の変遷を経てロイヤル・スコッツ連隊となり、最終的に第1大隊ロイヤル・スコッツ・ボーダラーズへと統合されました。また、キングズ・オウン・スコティッシュ・ボーダラーズ（第25連隊）は、1689年に創設されたレヴィン伯爵又はエディンバラ連隊をルーツとし、数々の名称変更を経て、第1大隊ロイヤル・スコッツ・ボーダラーズに統合されています。

ロイヤル・ハイランド・フュージリアーズ（21,71,74）は、ロイヤル・スコッツ・フュージリアーズとハイランド軽歩兵が統合して1959年に誕生し、2006年にロイヤル・スコットランド連隊第2大隊となりました。ブラックウォッチ（42,73）は、1739年に編成されたハイランド連隊を起源とし、数々の戦いで勇名を馳せ、2006年にロイヤル・スコットランド連隊第3大隊となりました。アーガイル・アンド・サザーランド・ハイランダーズ(91,93)は、1794年に編成された第98アーガイルシャー・ハイランダーズ連隊を起源とし、クリミア戦争での活躍などで知られ、2006年にロイヤル・スコットランド連隊第5大隊となりました。

このように、ロイヤル・スコットランド連隊は、数々の歴史と伝統を受け継ぐ連隊の集合体であり、スコットランドの軍事史において重要な位置を占めています。

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