ロウサ・リントーン＝オーマン

ロウサ・リントーン＝オーマンについて

ロウサ・リントーン＝オーマン（Rotha Lintorn-Orman）は、1896年にロンドン・ケンジントンで生まれ、1935年に急死するまでの短い人生の中でイギリスの政治史に名を刻んだ女性政治活動家です。彼女はイギリスにおけるファシズム運動の創設者として知られ、特に女性の政界進出や右翼政治活動において画期的な役割を果たしました。

生い立ち

リントーン＝オーマンは、エセックス連隊の少佐チャールズ・エドワード・オーマンの娘として生まれました。彼女の母方の祖父は、著名な陸軍元帥ジョン・リントーン・アラビン・シモンズ卿で、家庭には軍人に対する理解と敬意があったと考えられます。第一次世界大戦中、彼女は婦人予備救急隊に参加し、医療業務に従事しました。特に1917年のテッサロニキ大火災での業績が評価され、勲章を授与されています。戦後も医療分野で活躍し、赤十字の自動車学校の校長になるなど、次第に重要な地位を得ました。

政治活動の開始

戦争から帰還した後、リントーン＝オーマンは右翼雑誌『愛国者』で反共主義者を募る広告を掲載し、これが後にイギリスファシスト党の結成に繋がりました。党は初期に「British Fascisti」と呼ばれ、これは当時のイタリアにおけるファシズムの影響を反映したものです。彼女は特に労働党の台頭に危機感を覚え、右翼活動を本格化させました。1924年には労働党が自由党と連立して政権に参加し、この状況は彼女の反発を一層強めました。

イギリスファシスト党の運営

リントーン＝オーマンの指導するイギリスファシスト党は、母親からの資金援助を受けつつ、合法的に活動しようと試みました。彼女は保守党と連携しながらも、その後の1926年のゼネストでは供給維持機構に深く関与することになります。党は結成から数年の間に複数の分派に分かれ、より過激なメンバーたちは脱退して新たにナショナル・ファシスティを結成するなど、内部対立が顕在化しました。

1932年には党内の有力者であったニール・フランシス・ホーキンスがBUFに移籍しましたが、リントーン＝オーマンはモズレーを共産主義寄りと見なし、党を離脱しませんでした。しかし、外的な圧力や内部のひび割れは、最終的に彼女の影響力を削いでいくことになります。

個人的な苦悩と死

リントーン＝オーマンの私生活には困難が伴い、アルコールや薬物に依存するようになりました。このため、彼女の評判は低下し、母親の資金援助も次第に途絶えました。 1935年に彼女が急死したときには、彼女の党はすでにその実体を失っていました。

文献および関連項目

彼女の人生や活動については、『Hurrah for the Blackshirts!』や長谷川公昭の著作などが参考になります。彼女の影響を受けた他の政治活動家や関連事件にも関心を持つことが重要です。

ロウサ・リントーン＝オーマンの功績とその後の影響は、イギリスの政治史の中でも特異なものであり、今日においても彼女の活動について語り継がれるべきです。

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