ロクロピット

ロクロピットについて

ロクロピットは、古代において轆轤（ロクロ）を設置するために地下に掘られた小さなくぼみのことです。日本の須恵器や土師器の窯跡および工房跡から多く発見されており、当時の土器製作に重要な役割を果たしていました。

轆轤の進化

最初の轆轤は手動で回転させるものでしたが、後に発明された「はずみ車」によって、より安定した回転が可能になりました。このはずみ車は重さがあり、動かす際には力が必要ですが、一度回転が始まるとその重さのおかげで速やかには減速しません。これは、製作する際、均一な速度で回転させ続けることが重要であったため、製作物の精度向上につながったのです。

さらに、鉄器時代に入ると、「蹴り轆轤」が広まりました。この技術では、重い円盤を軸棒で回しながら足で蹴って回転させます。これにより、手で回転させる必要がなくなり、両手を自由に使えることで、より多様な作業が可能になりました。こうした技術の発展は、陶器制作における効率化と品質向上をもたらし、より多くの作業者が創造的な製作活動に参加できる機会を提供しました。

ロクロピットの構造

ロクロピットは「蹴り轆轤」の使用に伴い出現したもので、日本の律令制時代に土器生産が広まった際に多く見られます。基本的に、円盤を載せる台や軸棒を土中に埋め込み、二段構造を持つケースが多く見受けられます。それらの壁や底は非常に堅固に作られており、この特徴が評価されています。

また、ロクロピットは窯跡や工房跡と共に発見されることが多く、周囲には未製品や半製品、さらには失敗作と考えられる土器も多く出土します。このことは、当時の陶器製作のプロセスや試行錯誤を示しており、歴史的にも価値のある情報源となります。

切り離し技術の進化

土器の底部を切り離す方法も進化しました。特に「蹴り轆轤」が一般化するにつれ、切り離しには糸が利用されるようになったと考えられています。回転しながら切り離された場合、底部には指紋のように渦巻き状の切り離し痕が見つかることがあり、これが土器の製作技術の発展を示す重要な証拠ともなります。

まとめ

ロクロピットは単なる土の穴以上のもので、古代日本における陶器制作の進化の象徴的な存在です。手技から始まった轆轤の回転が、はずみ車や蹴り轆轤によって革新され、土器制作の効率と精度が大きく向上したことを示しています。このような技術の進化は、古代の人々の創意工夫の結果であり、土器の製作のみならず、その社会の発展にも寄与したことでしょう。

もう一度検索