ロケーション・ハンティング

ロケーション・ハンティングの概要

ロケーション・ハンティング、略してロケハンとは、映画やテレビの制作において、屋外の撮影場所を探索するプロセスのことを指します。この用語は、日本においてアメリカから導入された和製英語で、その前は「ロケ探し」と呼ばれていました。日本では、ヘンリー・小谷氏がこの用語を持ち込んだとされています。

映像作品の制作にあたっては、作品の原作がある場合でも、監督や制作側の意向、予算などによって選定されるロケ地が異なることがあります。そしてロケーション・ハンティングは、通常、数回に分けて行われます。

プロセス

ロケーション・ハンティングの第一歩は、制作部が候補地を選定することです。この段階ではラインプロデューサーや制作担当者が「下見ロケハン」を行い、具体的なロケ地を選びます。さらに、撮影に際してのロケ交渉も行うことが多いです。選定されたロケ地の情報は、スチル写真やビデオとして記録され、メインスタッフにプレゼンテーションが行われます。

プレゼンを受けたメインスタッフは、シナリオや撮影計画に基づいて実際にロケ地を訪れ、最終的な撮影場所を決定するための「メインロケハン」を実施します。これにより、撮影のイメージと実際の条件を照らし合わせ、最適なロケ地を確定させるプロセスが進められます。

ロケーション・ハンティングの種類

ロケーション・ハンティングにはいくつかの種類があります。一般的には、映画やテレビ番組の制作会社が中心となり、地元のフィルム・コミッションや自治体の担当者と協力して行います。この協力は、機材の運搬や撮影に必要な施設確保など、事前準備を円滑に進めるために重要です。

シナリオロケハン

シナリオロケハンは、映像作品の脚本制作に関連して行われます。物語の中で求められる地域の風情や特性を調査し、その情報を脚本に反映させる過程です。このアプローチにより、作品の世界観をより豊かにすることが可能になります。

ロケハン

ロケハンは主に監督などのクリエイティブメンバーが主体となり、脚本に基づいて具体的な撮影場所を決定するために行われます。通常はシナリオロケハンの後に実施されますが、紀行番組の場合は逆で、プロデューサーが先に稼働することもあります。実際の撮影に入ると予期せぬ場所での撮影が発生することも珍しくなく、時には事前のロケハンが写真や映像による情報だけに留まることもあります。

アニメにおけるロケハン

日本のアニメ界では、宮崎駿氏が『長くつ下のピッピ』の制作に際して海外でのロケハンを行いましたが、原作者の了承が得られず、作品は実現しませんでした。その後、1972年には『アルプスの少女ハイジ』の制作に関するロケハンが実施され、スイスやフランス、ドイツが訪れられました。この際にプロデューサーが国外での情報を重視し、クリエイティブチームに確かな地域特性を提供する指示を出しました。

さらに、宮崎駿の作品『もののけ姫』では白神山地や屋久島、押井守監督作『イノセンス』ではニューヨークや香港でロケハンが行われ、リアリティを持った作品作りに寄与しています。

まとめ

ロケーション・ハンティングは、映像制作における重要なプロセスであり、制作部がメインとなってロケ地を選定し、作品に最適な環境を求める活動です。適切な撮影場所を見つけ出すことは、作品のクオリティを大きく左右するため、細心の注意と準備が求められます。

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