ロシアによるハルキウ州占領

ロシアによるハルキウ州占領の経緯

2022年2月24日、ロシア軍はウクライナへの侵攻を開始し、ハルキウ州の一部を占領しました。この占領は、公式には「ハルキウ州軍民行政府」によって管理されることとなりました。

占領の開始と初期の状況

ロシア軍は州都ハルキウの制圧には失敗しましたが、イジューム、クプヤンシク、バラクリヤなどの主要都市を占領しました。2月25日にはチュフイウ市も一時的に占領されましたが、3月7日にはウクライナ軍によって奪還されました。

ウクライナ軍の反撃と領土奪還

2022年9月初旬、ウクライナ軍は大規模な反撃を開始し、占領されていた地域を次々と奪還しました。9月11日までには、イジューム、クプヤンシク、ヴォフチャンスクなど、以前占領されていたほとんどの集落からロシア軍が撤退しました。ロシア国防省は、これらの地域からの撤退を、ドネツク州への部隊再配置のための「再編成」と発表しました。ハルキウ州軍民行政府も、当初クプヤンスクに拠点を置いていましたが、ヴォフチャンスクへの移動後、9月11日にウクライナ軍が同地を奪還したことで崩壊しました。9月13日にはウクライナ軍がオスキル川を渡り、複数の拠点を確保しました。そして9月16日には、オスキル川東側のクプヤンシク＝ヴズロヴィイを奪還しました。9月18日時点で、ロシア軍が占領していたのはオスキル川東側のハルキウ州の小さな一帯のみとなっていました。10月3日には、ロシア軍がさらに複数の集落から撤退し、ウクライナ当局がハルキウ州のほぼ全域の支配権を取り戻しました。

ハルキウ州軍民行政府の崩壊

10月3日、ハルキウ州のロシア軍民行政府は事実上崩壊しました。

占領下の状況

ロシア側は、ハルキウをロシア領土の「譲ることのできない」部分と主張し、住民投票による併合を計画していました。しかし、ロシアが支配する地域は全体の20%に過ぎず、住民投票の準備は進んでいませんでした。ウクライナの情報機関は、ロシアが11月にハルキウ州で住民投票を実施し、賛成票を75%にする計画を立てていたと報告しています。

各都市の占領と奪還

イジューム

イジューム市は2022年4月1日にロシア軍に占領され、軍事占領が開始されました。占領下では、市民がロシア兵に毒入りのケーキを渡したとされる事件が発生しました。また、ロシア軍は人道支援の車列の通過を禁止し、食料や医薬品が不足する状況を作り出しました。ロシア軍は、銃の所有者、裕福な人々、活動家などを「捜索」するためのリストを持っていました。4月18日には、ウクライナがイジューム地域内の複数の集落を奪還したと主張し、ロシア軍は市民の大量追放を開始しました。その後、9月10日にウクライナ軍がイジュームを奪還し、軍民行政府の支配は終了しました。

ヴェリキー・ブルルク

ヴェリキー・ブルルクの集落は2022年3月にロシア軍に占領され、軍民行政府が設立されました。7月11日には、ロシアが任命した軍民行政府指導者が自動車爆弾で暗殺されました。9月11日にはウクライナ軍が村を奪還し、ロシアによる占領を終わらせました。

バラクリヤ

バラクリヤは、2022年3月3日に親ロシア部隊によって占領されました。9月6日、ウクライナ軍はバラクリヤ方面で反撃を開始し、近くの集落を解放しました。9月8日には、ウクライナ軍が街を完全に奪還しました。9月10日、ウクライナはバラクリヤ市の奪還を宣言し、同市の軍事占領を終結させました。

ザリズニチネ

9月12日、ウクライナ当局は、ザリズニチネ村で「拷問の痕」がある市民4人の遺体を発見したと発表しました。この4人はロシア軍が村を制圧した際に殺害されたとされています。

結論

ロシアによるハルキウ州占領は、ウクライナ軍の反撃によって大部分が奪還され、ロシア軍民行政府は事実上崩壊しました。しかし、占領下では市民に対する人権侵害や虐待が行われたとされており、今後の調査が求められています。

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