ロシア全軍連合

ロシア全軍連合（ROVS）について

ロシア全軍連合（Русский Обще-Воинский Союз、略称ROVS）は、ロシアにおける政治団体で、主に反ソ連の姿勢を持ちながら活動を続けています。この団体は、1923年にユーゴスラビア王国において、白軍の司令官であるピョートル・ヴラーンゲリ中将によって設立されました。彼はロシアを脱出した後、世界各地に散らばったロシア軍要員を結集するために、この組織を創立しました。ソ連崩壊まで、全軍連合は国外で活動を行い、現在はロシア国内で社会的な活動を展開しています。

歴史的背景

ロシア全軍連合は1923年9月1日に設立の命令が下り、同年12月には正式に組織が承認されました。この団体は、ロシア帝国陸軍の伝統を受け継ぎ、ソビエトや赤軍に対抗することを目的にしていました。しかし、その内部は多様な意見や立場を持つメンバーから成り立っており、「軍の政治的中立」を重視していました。

全軍連合は基本的に反共主義的姿勢を持ち、多くのメンバーが帝政復古を望んでいましたが、立憲君主制と皇帝専制の違いや、ロマノフ朝の復活に関する意見の相違がありました。このため、思想的な対立が組織内部で生まれました。

ソ連との対立

全軍連合は、ソビエト連邦の秘密警察であるゲーペーウーから工作の対象となり、何度も混乱に陥ることがありました。ゲーペーウーは全軍連合内にスパイを送り込み、最終的には組織の情報を盗み出しました。その結果、アレクサンドル・クテポフやエフゲニー・ミレルといった主要メンバーが誘拐され、ソ連の手に落ちることになります。このような背景もあり、全軍連合は厳しい状況下で活動を続けなければなりませんでした。

第二次世界大戦とその後の動き

第二次世界大戦が勃発すると、全軍連合は両陣営に与することができず、その影響力は徐々に薄れていきました。しかし、ロシア解放軍などに期待を寄せるなど、希望を失わず活動を続けました。戦後、彼らは革命以前のロシアの軍の伝統を保つことを重視し、国際的にもその役割を果たしていました。

1992年にソビエト連邦が崩壊した後、全軍連合はロシア国内での活動を再開し、2000年には本部もロシアに移転しました。現在は、イーゴリ・イヴァノフが議長を務め、この組織の運営を行っています。

組織構成と活動

全軍連合は結成当初から幾つかの支部を設けており、各国のロシア人コミュニティをターゲットに活動を行ってきました。第1支部から第4支部までの主要な支部があり、それぞれ異なる地域に焦点を当てています。現在、活動の範囲は広がり、北米や南米、オーストラリアなど、国際的なネットワークも構築されています。

具体的には、第一支部はヨーロッパの主要国に広がり、第二支部はドイツ語圏やバルト三国を含む地域を対象としています。また、アジア地域では満州や日本にも支部があります。こうした国際的な組織体制により、全軍連合はロシアの歴史的な遺産と文化を守る努力を続けています。

思想と教義

ロシア全軍連合の基本理念は、祖国への無私の奉仕と共産主義およびロシアの分裂に対する不屈の闘争です。彼らは、ロシア帝国軍や白軍の教訓を引き継ぎ、ロシアの未来を守るために尽力しています。思想的指導者として知られるイワン・イリインは、彼らの考え方を明確にし、多くの日々の活動に影響を与えています。

このように、ロシア全軍連合は歴史的、政治的な背景を持ちながらも、ロシアの文化と伝統を守るために影響力を発揮し続けています。

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