ロジャーズ・ロコモティブ・ワークス

ロジャーズ・ロコモティブ・ワークスの歴史と業績

ロジャーズ・ロコモティブ・ワークスは、19世紀のアメリカ合衆国において特に重要な機関車製造会社でした。設立は1832年で、トーマス・ロジャーズと彼のビジネスパートナーであるモリス・ケッチャム、ジャスパー・グローブナーによって行われました。以降約73年の間に、この会社は6000両以上の蒸気機関車を製造し、アメリカ国内の鉄道システムに大きく貢献しました。

創業から発展への道のり

1632年の創業後、ロジャーズはジェファーソン・ワークスと命名された工場で、織機の設計と製造を行っていました。しかし、1832年にケッチャムとグローブナーとの共同経営により、機関車製造への道を歩み始めます。特に1835年には、イギリスのロバート・スティーブンソン社の設計による機関車を組み立て、自社製の完全オリジナル機関車を1837年に納入。同機は、オハイオ州を初めて横断した機関車としても知られています。

ロジャーズは、機関車の製造において新しい設計を試み、動輪には鋳鉄を採用するなど、革新を続けました。この時期においてロジャーズの機関車は高い評価を受けており、特に1846年にはアメリカ最大の6輪機関車を制作するなど、その名声を高めました。1856年には創業者トーマス・ロジャーズが逝去し、息子のジェイコブ・S・ロジャーズが経営の舵を取り、会社名もロジャーズ・ロコモティブ・アンド・マシン・ワークスに変更されました。

機関車の多彩な展開

ロジャーズの生産した機関車は、その強力さとコストパフォーマンスの良さから多くの鉄道会社に支持されました。特に南北戦争中には、ロジャーズ製の蒸気機関車が多く使用され、1879年にはルイビル・アンド・ナッシュビル鉄道（L&N）がロジャーズから大量の機関車を購入するなど、需要は非常に高まりました。

1887年、新たに工場長に就任したルベン・ウェルズの下、社内の改革が進められますが、1893年にジェイコブが引退した後、会社は経営難に直面します。1900年にはジェイコブが亡くなり、翌年には工場が閉鎖され、その後、アメリカン・ロコモティブ社（ALCO）との統合が進んでいきました。

統合とその後

ロジャーズ・ロコモティブ・ワークスは1901年にALCOに統合され、1905年に最終的にグレイス社向けの機関車を製造してその幕を閉じました。この工場は、その後も1913年までALCOの工場として機能し続けますが、1920年代には倉庫として使用されることに。そして最終的には全資産が売却されることになります。

現在における評価

現在、ロジャーズ製の機関車は、世界中の鉄道博物館で保存されています。また、設立時の工場施設は「トーマス・ロジャーズ・ビル」として保存され、パターソン博物館として利用されています。ここでは、ロジャーズ社の歴史を知る貴重な素材として、多くの来訪者に親しまれています。

ロジャーズ・ロコモティブ・ワークスは多くの技術革新をもたらし、その名はアメリカの鉄道史に記憶され続けることでしょう。

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