アメリカン・ロコモティブ

アメリカン・ロコモティブ（ALCO）の歴史

アメリカン・ロコモティブ（American Locomotive Company、略称ALCO）は、1901年、アメリカ合衆国ニューヨーク州を中心に複数の機関車製造会社が合併して設立された鉄道車両メーカーです。本拠地はニューヨーク州スケネクタディに置かれ、当初は複数の工場を運営していましたが、後にスケネクタディ工場に集約されました。

創業と成長

ALCOは、ブルックス、クック、ディクソン、マンチェスター、ピッツバーグ、ロードアイランド、リッチモンド、そしてスケネクタディの各ロコモティブワークスという、当時アメリカで活躍していた複数の小規模な機関車メーカーの合併によって誕生しました。これらの企業はそれぞれ異なる地域に拠点を置いていましたが、合併後はスケネクタディに本社が置かれ、他の工場は順次閉鎖されていきました。

1904年には、カナダのモントリオール・ロコモティブ・ワークス（MLW）を買収、1905年にはロジャーズ・ロコモティブ・ワークスを買収し、ボールドウィンに次ぐアメリカ第二位の機関車メーカーへと成長しました。

ALCOは、蒸気機関車の製造で高い評価を獲得し、ユニオン・パシフィック鉄道、デラウェア鉄道、サザン・パシフィック鉄道など、多くの主要鉄道会社に機関車を供給しました。ニューヨーク・セントラル鉄道のハドソン型、ユニオン・パシフィック鉄道のチャレンジャー型など、数々の名機を生み出しました。特に、ユニオン・パシフィック鉄道のビッグボーイは、その巨大さで知られています。ALCOは、75,000両以上の機関車を生産したと推定されています。

多角化への挑戦と自動車事業

ALCOは機関車製造に加え、多角化への取り組みも行いました。1906年には、当時普及しつつあった自動車製造にも進出しました。フランスのBerliet社の設計による自動車のライセンス生産から始め、後に独自設計の自動車も製造しました。しかし、自動車事業は成功せず、1913年には撤退しています。興味深いことに、ALCOの自動車工場で責任者を務めていたウォルター・[[クライスラー]]は、後に自動車業界の大物となりクライスラー社を創業しました。

ディーゼル[[機関車]]への転換とGEとの関係

蒸気機関車製造で成功を収めていたALCOでしたが、1924年にはゼネラル・エレクトリック（GE）とインガソールランドと提携し、電気式ディーゼル[[機関車]]の製造を開始しました。これは商業的に成功を収め、多くの鉄道会社に納入されました。1929年には、エンジン製造会社のマッキントッシュ・アンド・シーモア・ディーゼル・エンジンを買収し、ディーゼルエンジンの自社生産を開始しました。しかし、電装品は引き続きGEから供給を受けていました。

1940年には、ALCOとGEは販売部門を統合し、「ALCO-GE」としてディーゼル[[機関車]]の販売を行っていました。しかし、1953年にGEはALCOとの協業を解消し、単独でディーゼル[[機関車]]の製造を開始しました。これは、ALCOにとって大きな競争相手となりました。第二次世界大戦中、ALCOは軍需産業にも参加し、戦車の生産などを行いました。

衰退と撤退

戦後、ALCOはGM-EMD（ゼネラルモーターズ・エレクトロモーティブ・ディビジョン）との激しい競争にさらされました。GM-EMDは、積極的なマーケティングと潤沢な資金力、そして政府からの支援により、ALCOを徐々に追い詰めていきました。ALCOは、設計の改良を続け、センチュリー・シリーズなどの新型ディーゼル[[機関車]]を開発しましたが、GM-EMDやGEには太刀打ちできませんでした。

1969年、ALCOはついに機関車製造から撤退し、スケネクタディの工場を閉鎖しました。ALCOの設計と技術はMLWに譲渡されました。

戦後と多角化

機関車製造からの撤退後、ALCOは多角化を進めました。弾薬生産、石油生産装置、原子力市場、熱交換器など、様々な分野に進出しました。1955年には社名を「Alco Products」に変更しています。これは、機関車がもはや主要な製品ではなくなったことを示しています。

まとめ

ALCOは、アメリカにおける機関車製造の歴史において重要な役割を果たした企業でした。蒸気機関車の時代からディーゼル[[機関車]]の時代へと移り変わる中で、激しい競争を経験し、最終的には機関車製造から撤退しましたが、その技術と歴史は、鉄道史に大きな足跡を残しています。 ALCOの物語は、技術革新、企業競争、そして時代の変化がいかに企業の盛衰を左右するかを示す、興味深い事例と言えます。

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