ロジャー・ベイン

ロジャー・ベインは、1970年代にブラック・サバス、バッジー、ジューダス・プリーストといった、後のヘヴィメタル界を牽引するバンドの初期のアルバムをプロデュースしたことで知られる、イギリス出身の音楽プロデューサーです。

初期の活躍

ベインは、ブラック・サバスの初期3作、バッジーの最初の2作といった重要なアルバムを手掛けました。また、ジューダス・プリーストのデビューアルバム『ロッカ・ローラ』や、ワイルド・ターキーのデビューアルバム『Battle Hymn』のプロデュースも担当しています。

しかし、ジューダス・プリーストのデビューアルバム制作時には、バンドの意向を無視した強引な決定を下すこともあったようです。プロデューサーとしての強い意志が、必ずしもバンドとの良好な関係に繋がるとは限らないことを示唆するエピソードと言えるでしょう。

レーベル設立とその後

1981年、ベインは自身のレコードレーベル「Blue Chip/Cygnet Records」を設立し、キックス（後のIncredible Kidda Band）などのバンドと契約しました。キックスのシングル「If Looks Could Kill」をリリースするなど、プロデューサー業に留まらず、レーベル運営にも乗り出しました。

その後、ポリドール・レコードのために、バークレイ・ジェイムス・ハーヴェストの初期2枚のアルバム『宇宙の子供 (Everyone Is Everybody Else)』とライブアルバム『バークレイ・ジェームス・ハーヴェスト・ライヴ』をプロデュースしました。バンドとの関係は良好ではなかったようですが、アルバムは好評を博しました。

ブラック・サバスからの評価

ブラック・サバスのベーシストであるギーザー・バトラーは、DVD『最後の晩餐 (Last Supper)』の中で、ベインの功績を評価しています。バトラーによれば、ベインはファースト・アルバム全体をライブ演奏で録音することを許可しました。これは当時の一般的なレコーディング方法ではなく、他のプロデューサーが拒否したであろう試みでした。このエピソードから、ベインの革新的な姿勢と、バンドの創造性を尊重する姿勢が伺えます。

ロジャー・ベインは、常にバンドと友好的な関係を築いたプロデューサーというわけではありません。しかし、ヘヴィメタルというジャンルの黎明期において、重要な役割を果たしたことは間違いありません。彼のプロデュース作品は、今日でも多くの音楽ファンに愛され続けています。

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