ロックドゥカンブ

ロックドゥカンブ：ニュージーランドから日本へ、そして再び故郷へ

2004年9月29日、ニュージーランドで生まれた競走馬、ロックドゥカンブ。その名はフランス語で「カンブの岩」を意味し、フランス産ワインから名付けられました。日本中央競馬会（JRA）で活躍した後、故郷ニュージーランドに戻り種牡馬として新たな成功を収めた、彼の生涯を紐解きます。

華々しいデビューと重賞制覇

2006年、13万オーストラリアドルで日本に輸入されたロックドゥカンブは、ノーザンファーム空港牧場で育成されました。美浦トレーニングセンターに入厩した彼は、南半球産馬特有の遅生まれというハンデを背負いながらも、2007年3月にデビュー。新馬戦では後のエリザベス女王杯優勝馬クィーンスプマンテを破り、見事勝利を収めました。続くマカオジョッキークラブトロフィーも制し、2連勝で勢いに乗ります。

そして迎えた重賞初挑戦、ラジオNIKKEI賞。2番人気に支持されたロックドゥカンブは、後のジャパンカップ優勝馬スクリーンヒーローを1馬身半差で退け、見事優勝。この勝利は、ニュージーランド産馬による中央競馬重賞勝利としては、1958年のニユーヨーク（京都大障害・春）以来49年ぶり、平地競走では1957年のサールス（朝日チャレンジカップ）以来50年ぶりの快挙となりました。

勢いに乗るロックドゥカンブは、菊花賞への挑戦を視野に入れ、ヴィクトリアダービーへの予備登録も行われました。しかし、夏に流行した馬インフルエンザの影響で遠征を断念。目標を菊花賞に変更し、トライアルレースであるセントライト記念に出走しました。ここでは2着ゴールデンダリアに1馬身半差をつけ、4連勝を達成しました。

菊花賞では1番人気に支持されましたが、惜しくも3着。その後、有馬記念にも出走しましたが4着に終わりました。

怪我からの回復と種牡馬への転身

2008年、古馬となって臨んだ宝塚記念では、2番人気に支持されましたが、レース中に左後繋靭帯断裂という重傷を負い、競走馬登録を抹消されました。競走馬としてのキャリアは幕を閉じましたが、彼の輝かしい功績は、ここで終わりではありませんでした。

2010年、ニュージーランドのオークススタッドにて種牡馬入りしたロックドゥカンブ。その後、産駒が数々の勝利を収め、2016年には産駒のヒーズアワロッキーがトゥーラックハンデキャップを制し、G1初制覇を達成。さらに2018年には、産駒のヴィンドゥダンスがニュージーランドダービーを制覇しました。

血統と将来

ロックドゥカンブの父はアメリカで活躍した後、オーストラリアで種牡馬として成功を収めた馬です。曾祖母ゲイリーは1974年のアイリッシュ1000ギニー優勝馬であり、その血統背景も、彼の活躍を支えた要因の一つと言えるでしょう。

ロックドゥカンブは、競走馬として、そして種牡馬として、その素晴らしい才能を余すことなく発揮し、日本の競馬史、そしてニュージーランドの競馬史に名を刻みました。彼の生涯は、多くの競馬ファンに感動と希望を与え続けるでしょう。

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