ロックンゲームボーイ

『ロックンゲームボーイ』は、池原しげと先生が『月刊コミックボンボン』にて1989年から1991年にかけて連載した少年漫画作品です。全5巻の単行本として刊行されています。

概要

本作は、1989年に任天堂から発売された携帯型ゲーム機、ゲームボーイを題材としています。連載時期がスーパーファミコンの登場時期と重なるため、作中にはスーパーファミコンのゲームも登場します。

ファミコンブーム時代には多くのファミコン漫画が存在しましたが、ゲームボーイを題材にした漫画は比較的少ない傾向にありました。同時期には、『月刊コロコロコミック』で連載されていた『突撃!ゲームボーイ』（こいしさとし）や、『電脳ボーイ』（ながいのりあき）といった作品が、同様のコンセプトを持っていました。

作者の池原しげと先生の過去作『ファミコン風雲児』との共通点が多く見られます。ゲームを利用して悪事を働く秘密結社が登場したり、ネットワーク対戦が可能な設備が描かれたり、ゲームの世界に入り込んで戦う展開などが共通しています。

しかしながら、『ファミコン風雲児』に頻繁に登場したゲームデータ解析などの専門的な技術描写は減少し、ライバルとのゲーム対決に焦点が当てられています。なお、両作品間には世界観の繋がりはありません。

ゲーム内の世界が丁寧に表現されているのも特徴です。作中には『ロックマンワールド』を題材にしたエピソードも存在し、池原先生は本作の連載終了後、ロックマンシリーズの漫画執筆を開始しています。

単行本化の際に、連載時の内容から一部カットされた部分があります。具体的には、5巻において以下の部分が削除されています。

ゲームエデン突入後の『機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122』対決全体
ゲームエデンのナンバーワンを決める『ジェリーボーイ』対決の一部

あらすじ

主人公の少年・南波一は、仲間たちとゲームボーイのサークルを立ち上げ、日本一のゲーマーを目指して日々特訓に励んでいます。ある日、兄である南波翔が突如姿を消し、一はその行方を追う中で、ゲームを利用して野望を企む謎の秘密結社「BUG（バグ）」の存在を知ります。兄の救出とBUGの野望を阻止するため、南波一はBUGとのゲーム対決に挑むことになります。

登場人物

ロックンゲーマーズ

南波一（なんばはじめ）：日本一のゲームボーイプレーヤーを目指す少年。ゲーム名人の兄・翔に勝つことを目標としています。
南波翔（なんばしょう）：一の兄。テレビや雑誌にも登場するほどのゲーム名人でしたが、ある日突然、誰にも告げずに行方不明になります。
源旛（げんば）：元BUGのメンバー。BUGにいた翔から一にゲームをやめさせるよう依頼され、『テトリス』で一と対決するも敗北。その後は一に協力し、BUGの調査を行います。
チビ豆（ちびまめ）：一の親友。ゲームの腕前はそれほどでもありませんが、ゲームに関する豊富な知識を持っています。
一樹（かずき）：多くのゲーマーが集まるゲーム塾「芸夢の里（げいむのさと）」のリーダー。ゲームだけでなくコンピュータにも精通しています。
樹里亜（じゅりあ）：一樹の妹。芸夢の里で兄と共に腕を磨いています。

BUG

BUGの怪人：ブラックゲームボーイを持ち、『テトリス』で一に勝負を挑みます。失態を繰り返す翔を『レッドアリーマ』のゲーム内に閉じ込めます。
BUGのゲーマーは、黒色のゲームボーイを使用していますが、当時発売されていたゲームボーイは一色のみでした。後にゲームボーイのカラーバリエーションとして「ゲームボーイブロス」のブラックが発売されています。
破州和人（はすかずと）：BUGにスカウトされ、世界一のゲーマーを目指す少年。『ネメシス』のゲーム大会決勝で一と対決します。
BUGのスカウトマン：南波家の翔の部屋からフロッピーを盗み逃走。後に破州和人との『ネメシス』対決の場に現れます。
南波翔：BUGに連れ去られ、マイクロチップを埋め込まれて洗脳された翔。BUGのゲームリーダーとして、幾度となく一の前に立ちはだかります。
アンドロイド：BUGの回線を突き止めた一が、翔に『クォース』勝負を挑まれた際の対戦相手。
『ダブルドラゴン』で戦ったゲーマー：本名不明。BUGの基地に侵入した南波兄弟を捕えようとゲーム対決を挑みます。
BAL（バル）：BUGの基地を操るメインコンピューター。一の腕前を試すために自身の化身と戦わせます。一の潜在能力に期待し支援を行いますが、BUG総統のバックアップにより阻止され、自爆プログラムによって消滅。最後に『ボンブリス』というメッセージを残します。
ハメルン塾の塾長：BUGのマジシャン。ゲームも勉強もできる「ハメルン塾」で子供たちを集め、催眠術で操ってBUGへと連れ去ります。
活戸勝（かつとまさる）：ハメルン塾の塾長に協力していたBUGのゲーマー。一との『R-TYPE』対決後に改心し、塾からさらわれた子供たちを救うために協力します。マジシャンと共に船に潜入しますが、道連れにされ沈没します。
ビットベンダーズ：BUGの砦を守るゲーム四天王。黒いカセットで「ゲームショップ・アリス」の禁断の扉を開いたゲーマーの腕前を試します。
トム：BUGが作ったゲーム天国「ゲームエデン」の住人。ビットベンダーズとの戦いの後、行方不明になった一の居場所を教える代わりにチビ豆と『機動戦士ガンダムF91 フォーミュラー戦記0122』で対決します。
バクスター：BUGのエリートゲーマー。「ゲームエデン」のナンバーワンゲーマーを決めるテストで翔、一と対決します。
BUGのボス：「ゲームエデン」のリーダー。武器商人であるBUGが作った兵器を生かせるパイロットを育てるためにゲーマーを集めています。戦闘マシーンの襲撃で死亡したようです。
* BUGの総統：武器商人BUG本部のリーダー。強力な戦闘マシーンを量産し、優秀なゲーマーに操縦させ世界征服を狙います。戦闘マシーンの襲撃に巻き込まれて死亡。ミサイル発射のカウントダウン準備をしていましたが、『ボンブリス』によって阻止されます。

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