ロックン・ロール (ジョン・レノンのアルバム)

アルバム『ロックン・ロール』の概要

『ロックン・ロール』（英語: Rock 'n' Roll）は、ジョン・レノンが1975年の2月に発表したスタジオ・アルバムであり、彼にとって6枚目の作品です。このアルバムは、1950年代後半から1960年代前半にかけてのオールディーズをカバーした内容で、アメリカでは6位、イギリスでは10位にランクインしました。2024年にはリミックスとデジタル・リマスタリング版が再リリースされ、追加のボーナス・トラック4曲も収録されています。

制作の背景

1973年9月に『マインド・ゲームス』のレコーディングを終えたレノンは、次の作品としてオールディーズのカバーアルバムを企画しました。当時、レノンはオノ・ヨーコと別居中で、ロサンゼルスで個人秘書のメイ・パンと一緒に過ごしていました。この時期、レノンは昔からのヒーローであるジェリー・リー・ルイスやファッツ・ドミノのライブに訪れ、オールディーズに再び注目が集まりつつある中、カバーアルバムへの思いが強まっています。

レノンは、フィル・スペクターをこのアルバムのプロデューサーとして招くことにしました。スペクターはオールディーズが全盛だった時代に名を馳せた人物であり、過去にレノンの作品でも数々の成功を収めていました。しかし、レノンはすべての制作作業をスペクターに任せ、歌手としての役割に専念することに決めました。

また、1973年10月には著作権侵害に関する訴訟がレノンに降りかかりました。この訴訟により、次回のアルバムに特定の楽曲を収録するという和解条件が設定されました。

ロサンゼルスでのレコーディング

1973年10月、中旬からA&Mスタジオでレコーディングセッションが開始されました。このニュースを受けて、多くのハリウッドミュージシャンが参加を希望し、最終的に30人以上のミュージシャンが関わりました。しかし、セッションは次第に飲酒が常習化し、混乱が生じてまもなくスタジオを使用できなくなりました。続いてレコード・プラント・スタジオ・ウエストに移動して再開しましたが、スペクターは精神的な問題に悩まされ、セッションのテープを持って失踪してしまいました。これにより、レコーディングは一時中断を余儀なくされました。

その後、レノンはニュー・ヨークに戻り、ハリー・ニルソンのアルバム制作に協力しなければなりませんでした。この状況で、項目のいくつかはレコーディングが完了していたものの、十分には満足できる内容ではなかったため、テープの再録音を考えましたが、レコード会社の予算が許さず、新素材を追加する方針へと舵を切りました。

ニューヨークでのレコーディング

ニューヨークに戻ったレノンは新しいアルバム『心の壁、愛の橋』の制作に取り掛かりましたが、カバーアルバムの制作も進める必要がありました。新作が発売されると、レヴィによる第2次訴訟の危機が迫り、再びレコーディングが始まりました。最終的に、1975年4月に『ロックン・ロール』のタイトルが決定され、発売日が設定されました。

アルバム『ルーツ』とその影響

『ルーツ』（英語: Roots: John Lennon Sings the Great Rock & Roll Hits）はレノンが提供したセッション音源を元に独自に制作されたアルバムで、1975年にリリースされました。このアルバムは、レノンの『ロックン・ロール』の前に急遽リリースされることになりましたが、訴訟問題により販売は早々に差し止められることとなりました。

アルバムの正式リリース

『ロックン・ロール』の正式なリリースは1975年2月17日であり、急な対応ながらも一定の人気を獲得しました。売上は期待に反して伸び悩みましたが、レノンの音楽キャリアにおいて重要な位置を占める作品となりました。さらに、ビートルズの人気再燃を受けて、アメリカやイギリスで幾度となく再リリースされ、様々な評価を受けています。

音楽的評価と影響

アルバムに対する批評は分かれることもありますが、レノンがこれらの古典に新たな命を吹き込む姿勢は多くのリスナーに評価されています。ローリングストーン誌では彼が古典に品位を付与していると称賛され、オールミュージックもその意義を認めています。


『ロックン・ロール』は単なるカバーアルバムにとどまらず、レノンの多様な音楽性を示す重要な作品として、今も多くのファンに愛されています。

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