ロドリーゴ・ダラゴーナ

ロドリーゴ・ダラゴーナは、1499年11月1日にローマで生まれました。父はナポリ王アルフォンソ2世の非嫡出子であるビシェーリエ公アルフォンソ・ダラゴーナ、母は教皇アレクサンデル6世の娘ルクレツィア・ボルジアという、当時のイタリアにおいて非常に影響力のある一族の血を引いていました。

生後10日目、盛大な洗礼式が執り行われ、祖父である教皇アレクサンデル6世にちなんでロドリーゴと名付けられました。洗礼式には多くの枢機卿や諸国の大使が参列し、親族のコスタンツァ司教フランシスコ・デ・ボルハが代父を務めました。しかし、ボルジア家の長年の敵であったオルシーニ家の者がロドリーゴを抱くと泣き止まなかったという逸話が残っており、この出来事は彼の未来を暗示していると噂されました。

1500年、父が暗殺されるという悲劇に見舞われ、母ルクレツィアは再婚のためロドリーゴを手放さざるを得なくなりました。1501年、ロドリーゴはフランシスコ・デ・ボルハ枢機卿の元で養育されることになります。母ルクレツィアは、1502年にフェラーラに向けてローマを去り、その後ロドリーゴと再会することはありませんでした。

ロドリーゴは父からビシェーリエ公爵領を相続しましたが、祖父教皇からはセルモネータ公爵領も与えられ、その名前と公爵位が刻まれたメダルが発行されました。しかし、1503年に祖父教皇が亡くなると、ボルジア家は一時的に没落し、ロドリーゴもサンタンジェロ城に幽閉されます。母ルクレツィアの尽力により解放されたものの、彼女は息子を亡き夫の家族に養育させることを選びました。

ロドリーゴはまず、父の同母姉であるスクイッラーチェ公妃サンチャに引き取られましたが、彼女が亡くなると、父の異母姉でミラノ公爵未亡人であったイザベッラの元へ移り、バーリの宮廷で養育されました。母ルクレツィアは何度もロドリーゴをフェラーラに引き取ろうと試みましたが、実現しませんでした。それでも彼女は息子に頻繁にプレゼントや手紙を送り、9歳になると家庭教師を派遣しました。1506年には、ロレートでの面会を試みましたが、これも叶いませんでした。

1512年8月、ロドリーゴはわずか12歳という若さで病死しました。母ルクレツィアは息子の死後、ようやくビシェーリエを訪れ、遺産の整理と宮廷の解散を行いました。さらに追善供養のミサに参列し、フェラーラに戻ると、1ヶ月間修道院で息子の冥福を祈りました。そして、ロドリーゴの遺産がアラゴン家からルクレツィアに正式に受け渡されたのは、彼女が亡くなる1年前の1518年でした。

ロドリーゴ・ダラゴーナの短い生涯は、当時のヨーロッパの政治と権力争いの渦中にあり、母ルクレツィア・ボルジアの人生においても重要な要素の一つでした。彼の生涯は、権力、家族の愛、そして悲劇が複雑に絡み合った、歴史の一コマを物語っています。

参考文献
Bradford, Sarah (2005). Lucrezia Borgia. Milan: Mondadori
Bellonci, Maria (2011). Lucrezia Borgia. Milan: Mondadori
* Stark, Rita (2011). The Pope's Daughter. New York: Iuniverse Inc

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