ロドルフォ・ソネゴ

ロドルフォ・ソネゴ（Rodolfo Sonego）は、1921年2月27日にイタリア北東部ヴェネト州の町カヴァルツァノに生まれ、2000年10月15日にローマでその生涯を閉じた、イタリア映画界を代表する脚本家の一人です。特に、イタリアの戦後映画を特徴づける重要なジャンルである「イタリア式コメディ」（Commedia all'italiana）の発展と確立において、彼は中心的な役割を果たしました。

彼の映画界でのキャリアは、比較的遅咲きとも言える26歳から始まりました。1947年、ジョルジョ・フェローニ監督の作品『Tombolo, paradiso nero』に共同脚本家として参加したのが、脚本家としての記念すべき第一歩です。ここから、彼の多産な活動が本格的に始まり、その後、実に80本近い長編映画の脚本を手がけることになります。

ソネゴの作品リストは非常に幅広く、当時のイタリア映画界を牽引した多くの著名な監督や俳優たちと密接に協働しています。例えば、アルベルト・ラットゥアーダ監督の人間ドラマ『海岸』（La Spiaggia, 1954年）や、ステーノ監督の歴史コメディ『わが息子暴君ネロ』（Mio figlio Nerone, 1956年）など、多様なジャンルの作品に筆を執りました。

特に、イタリアの国民的俳優であったアルベルト・ソルディとは非常に多くの作品でタッグを組み、彼の代表作の数々にはソネゴの脚本が用いられています。ティント・ブラス監督の風変わりなSFコメディ『私は宇宙人を見た』（Il disco volante, 1964年）や、ルイージ・フィリッポ・ダミーコ監督のオムニバス映画『おとぼけ紳士録』（I complessi, 1965年）の一篇である『Guglielmo il dentone』などが挙げられます。ソルディの独特なキャラクターや人間的な魅力は、ソネゴの脚本によって一層引き立てられました。

女優モニカ・ヴィッティとの共同作業も特筆すべきです。マリオ・モニチェリ監督の傑作コメディ『結婚大追跡』（La ragazza con la pistola, 1968年）では、シチリアの女性が名誉のためにロンドンへ乗り込むという、社会的なテーマとユーモアが絶妙にブレンドされた物語を創造しました。ヴィッティは『私は宇宙人を見た』でもソルディと共に主要キャストとして出演しています。

他にも、彼のフィルモグラフィには、ジャン・ルイージ・ポリドロ監督によるペトロニウス原作の翻案『華麗なる堕落の世界 / 続・サテリコン』（Satyricon, 1968年、フェデリコ・フェリーニ版より先に製作）や、アルベルト・モラヴィア原作の映画化『鏡の向う側』（L'Attenzione, 1987年）など、単なるコメディにとどまらない、文学的あるいは実験的な要素を含む作品も含まれています。

ロドルフォ・ソネゴの脚本は、戦後イタリア社会の移り変わりや、そこに生きる人々の日常的な葛藤、矛盾を鋭く観察し、それをユーモアやペーソスを交えながら鮮やかに描き出すことに長けていました。「イタリア式コメディ」が、単なる笑いではなく、時に社会風刺や人間の哀歓を含む奥行きのあるジャンルとして国際的に評価されるようになった背景には、彼のような質の高い脚本家の存在が不可欠でした。

彼の遺作となったのは、監督・製作をトニーノ・チェルヴィが務めた『Il Quaderno della spesa』です。奇しくも、この作品はチェルヴィ監督にとっても最後の作品となりました。二人の巨匠の死後、2003年3月7日にイタリアで劇場公開され、同年の第56回カンヌ国際映画祭でも上映されるなど、完成から時間を経てその存在が広く知られることとなりました。

ロドルフォ・ソネゴは、半世紀以上にわたる精力的な創作活動を通じて、イタリア映画史、特に「イタリア式コメディ」の黄金時代を支えた重要な人物として、その功績は今日でも高く評価されています。彼が残した数々の作品は、イタリアの文化や社会を理解する上で貴重な資料であり、またエンターテイメントとしても多くの人々に楽しまれ続けています。

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