ロバート (初代グロスター伯)

ロバート・オブ・グロスター：イングランド内戦期の貴公子

ロバート・オブ・グロスター（1090年頃 - 1147年）は、イングランド王ヘンリー1世の庶子として生まれました。出生地ノルマンディーのカーンにちなんでロバート・デ・カーンとも呼ばれ、父王の落胤であることを示すフィッツロイという愛称でも知られています。彼の生涯は、イングランドとノルマンディーを揺るがした王位継承争いの渦中にありました。

生い立ちと結婚

ロバートは、父ヘンリー1世が王位に就く以前に、未婚の状態でカーンで誕生しました。正確な生年月日や母親に関する記録は残っていません。彼は、ウィリアム1世の従兄弟にあたるグロスター領主ロバート・フィッツハモンの娘、メイベル・オブ・グロスターと結婚し、1121年頃にグロスター伯の爵位を授与されました。

王位継承争い

1135年にヘンリー1世が崩御すると、イングランド王位を巡り、激しい内戦が勃発します。ヘンリー1世は、自身の娘であるマティルダ（モード王女）を後継者に指名していましたが、スティーブンが王位を簒奪しました。当初、ロバートはスティーブン王に忠誠を誓っていましたが、後にマティルダを支持する側に転じ、その中心人物として活躍することになります。

戦争と捕虜交換

1141年、ロバートはリンカーンの戦いでスティーブン王を捕虜にするという大きな功績を挙げます。しかし、その直後、スティーブンの支持者たちによってウィンチェスターで捕らえられてしまいます。マティルダは兄ロバートを救出するため、スティーブン王を解放せざるを得ませんでした。この捕虜交換は、内戦の激しさを物語る出来事として知られています。

内戦の終焉と死

ロバートはその後もマティルダ支持派として戦い続けましたが、内戦が続く中、1147年10月にこの世を去りました。彼の死後も、イングランドの内戦はしばらくの間、終息することはありませんでした。

子孫

ロバートの子孫には、イングランド王ジョンの最初の妻であるイザベル・オブ・グロスター、スコットランド王ジョン・ベイリャル、そしてロバート1世などがいます。彼の血筋は、イングランド、スコットランドの歴史に深く関わっています。

家族構成

妻メイベル・オブ・グロスターとの間には、以下の子女がいました。

ウィリアム（第2代グロスター伯）
ロジャー（ウスター司教）
ハモン
リチャード
マティルダ
メイベル
フィリップ

また、庶子として以下の子がいました。

リチャード（バイユー司教）
ロバート（グロスター城主）
メイベル
* トマス

ロバート・オブ・グロスターは、激動の時代を生き抜き、イングランドの歴史に大きな足跡を残した人物として、記憶されるべきでしょう。

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