ロバート・クライヴ (外交官)

サー・ロバート・ヘンリー・クライヴの外交経歴

サー・ロバート・ヘンリー・クライヴ（Sir Robert Henry Clive、GCMG、枢秘顧問官）は、1877年12月23日に生まれ、1948年5月13日に逝去した英国の外交官です。彼は特に1934年から1937年まで駐日英国大使を務めたことで知られています。彼の外交上の活動やその背景に焦点を当ててみましょう。

出生と教育

クライヴは、父にエドワード・クライヴ（ホイッグ党の下院議員）、母にキャサリン・エリザベス・メリー・ジュリアを持ち、教育はヘイリーベリー・カレッジ及びオックスフォード大学モードレン学寮で受けました。彼の曽祖父はエドワード・クライヴであり、この家系が持つ政治的背景は彼の後のキャリアにも影響を与えたと考えられます。

経歴

クライヴは1902年に外務省に入省し、初めて重要な任務を果たすのは1905年から1909年の期間で、当時東京にある駐日英国大使館で三等書記官として働きました。その後も様々な国での総領事や公使としての経験を積み、特に1926年から1931年まで駐ペルシャ公使を務めたことは彼の外交的視野を広げる機会となりました。

1935年7月に彼は東京に赴任し、駐日英国大使としての任務を開始しました。当時の日本と中国の関係は非常に緊張しており、日本は中国に対する欧米の不干渉を求めていました。この状況下で、クライヴは日英関係が悪化しないように努力する必要がありました。

彼の任務は、英国政府内での複雑な意見の衝突の中で進められました。一方では中国やアメリカと摩擦を起こさないようにする愛国的な外務省、他方ではナチス・ドイツの脅威に対抗するために対日融和を模索するネヴィル・チェンバレン財務大臣を中心とした派閥が存在しました。クライヴはこの微妙なバランスを保つために最善を尽くしました。

彼は日本政府と誠実な対話を重ね、対日融和を目指しましたが、それと同時に必要な妥協を行うことは拒否しました。1935年には、日英関係改善を狙って親日派のフランシス・ピゴット少将を武官として派遣することが決まりましたが、クライヴはその考えに対し慎重な姿勢を崩しませんでした。

彼は「日本国内の軍部の表面的な融和姿勢に惑わされてはならない」とし、実際に合意を得るためには日本が受け入れる条件が、必ず中国と英国の利益に反するものであると分析しました。

任期の終焉

クライヴの任期は1937年5月まで続き、その間に日本国内の政治情勢も変わりました。同年3月には佐藤尚武が新しい外務大臣に就任し、一時的に日英関係への期待が高まりましたが、内部の情勢の変化や盧溝橋事件が発生すると、彼の希望は潰えました。

帰国後、クライヴは駐ベルギー大使に任命され、1934年には枢密顧問官に列せられ、1937年には一等聖マイケル・聖ジョージ勲章を受章しました。彼は1939年に外交官としての職を引退し、約11年間の外交生活を終えました。1948年5月に彼は亡くなり、彼の外交官としての影響力は長い間語り継がれています。

まとめ

サー・ロバート・ヘンリー・クライヴの外交活動は、その時代の国際関係の複雑さを反映しています。彼の経験と洞察は、特に日本との関係において、今なお考察の対象とされています。彼はその任務を通じて、日英関係の改善を試みながらも、現実的な政治環境の中でのバランスを保つことの難しさを教えてくれます。

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