ロバート・W・スミス

ロバート・W・スミス

ロバート・ウィンストン・スミス（Robert Winston Smith）は、1958年10月24日に生まれ、2023年9月21日に逝去したアメリカ合衆国の作曲家、編曲家、指揮者、そして音楽教師です。彼は主に吹奏楽や映画音楽の分野で多大な功績を残しました。

生涯と教育

スミスはアラバマ州で生を受け、同州トロイにあるトロイ州立大学に進学しました。学生時代にはマーチングバンドで首席トランペット奏者として活躍する一方、作曲家ポール・ヨーダーに師事し、作曲の基礎を学びました。トロイ州立大学で音楽学士号を取得して卒業した後、フロリダ州へ移り住み、1990年にはマイアミ大学で音楽修士号を取得しました。この時期には、著名な作曲家アルフレッド・リードの指導を受けています。

キャリア

マイアミ大学での研究を終えた後、スミスは教育と音楽制作の両面でキャリアを築きました。1997年に母校であるトロイ州立大学に戻り、同大学のバンドディレクターに就任しました。以来、彼は音楽産業プログラムの教授として教壇に立つ傍ら、大学バンドの指揮を務め、精力的に作曲活動を展開しました。

また、音楽出版業界においても重要な役割を果たしました。ワーナー・ブラザース出版社（Warner/Chappell Music）の編集者として勤務していましたが、同社の音楽出版部門がアルフレッド出版社（Alfred Music Publishing）に売却されるのに伴い、その職を辞しました。その後、バーンハウス社（C. L. Barnhouse Company）に移籍し、同社およびそのCDレーベルであるウォーキング・フロッグ・レコードの商品開発担当副社長に就任しました。

作品と影響

ロバート・W・スミスの作品は、そのほとんどが当初ワーナー・ブラザース出版社から出版されていましたが、バーンハウス社への移籍後は、同社およびその提携出版社からリリースされるようになりました。彼の作品は、吹奏楽を中心に世界中で演奏されており、特に若い演奏家たちにとって重要なレパートリーとなっています。

代表的な作品群として、文学作品や叙事詩にインスパイアされた交響曲が挙げられます。ダンテの『神曲』を基にした交響曲第1番「神曲（The Divine Comedy）」は、地獄篇、煉獄篇、昇天、天国篇の4楽章で構成されています。ホメロスの叙事詩『イリアス』と『オデュッセイア』から着想を得た交響曲第2番「オデッセイ（The Odyssey）」や、セルバンテスの『ドン・キホーテ』に基づく交響曲第3番「ドン・キホーテ（Don Quixote）」なども広く知られています。

また、個別の作品にも多様なテーマが見られます。例えば、「インチョン（Inchon）」は、朝鮮戦争に従軍した経験を持つ彼の父親への追悼として作曲されました。吹奏楽の定番曲となっている「船乗りと海の歌（Songs of Sailor and Sea）」は、「海の男達の歌」という邦題でも親しまれています。「先生、さくら急行に乗る（Sensei's Ride on The Cherry Blossom Express）」は、日本の指揮者である秋山紀夫の80歳の誕生日を記念して、おおみや市民吹奏楽団からの委嘱により制作されました。

その他にも、以下のような多くの作品があります。

アフリカの儀式と歌、宗教的典礼
嵐の中へ
機関車大追跡
大地と水と火と空の歌
月への12秒
天空への挑戦
伝説のアイルランド
トゥ・ザ・サミット! (To the Summit! / Strive for the Highest)
ブラック・ホークが舞うところ
モニュメント
大空に向かって
雲のダンス
コロラドの夢
開拓者魂と祝典
夢の星
リパカッションズ
アメリカン・ランドスケープ
果てしない頂き

死去

ロバート・W・スミスは、2023年9月21日、心臓手術の合併症のため惜しまれつつこの世を去りました。彼の残した数々の作品は、今後も多くの演奏家や聴衆によって愛され続けるでしょう。特に吹奏楽教育の分野における彼の貢献は計り知れません。

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