ロビンエンジン

ロビンエンジン

ロビンエンジンは、日本の輸送機器メーカーである株式会社SUBARU（旧社名：富士重工業株式会社）がかつて製造・販売を手掛けていた汎用エンジンのブランド名です。その歴史は、同社がかつて生産していたスクーター「ラビット」に搭載されていたエンジンの汎用化に端を発します。

技術的特徴と市場での地位

ロビンエンジンは特に空冷式のガソリンエンジン開発を得意としており、長年にわたり様々な用途に向けた製品を提供していました。その中でも、国内の小型建設機械市場においては非常に高いシェアを占め、業界をリードする存在でした。累計生産台数は100万基を超えるなど、その普及度と信頼性の高さを物語っています。また、建設機械向け以外にも、農業機械や産業機械など、幅広い分野で使用されていました。

事業の変遷と他社との関わり

かつて、ロビンエンジンを搭載した農業用耕耘機なども富士重工業自身が製造していましたが、その後、農業機械事業は子会社の富士ロビン株式会社へ移管されました。この富士ロビンは、後に電動工具メーカーである株式会社マキタの傘下に入り、マキタが展開する「ラビット」ブランドの農業機械製品の一部に引き継がれていきました。このような事業再編の流れもあり、2000年代後半からは、SUBARUが製造する汎用エンジンは、「ロビン」ブランドから順次「スバル」ブランドへと名称が変更されていきました。

事業撤退と一部譲渡

長らく日本の産業を支えてきたロビンエンジンの製造・販売は、2017年9月末をもって終了しました。これにより、SUBARUは汎用エンジン事業から完全に撤退することとなりました。しかし、一部の製品、具体的には「EH Vツインシリーズ」として知られるEH65、EH72、EH65Vの3機種については、事業撤退に際し、ヤマハ発動機株式会社の子会社であるヤマハモーターパワープロダクツ株式会社へ事業が譲渡され、現在も同社によって供給が続けられています。

主な機種シリーズ

ロビンエンジンとして展開された代表的な機種シリーズには以下のようなものがありました。

EYシリーズ（SV方式）
EHシリーズ（OHV方式）
EXシリーズ（SOHC方式）
EKシリーズ
EYシリーズ
EY-Kシリーズ（灯油を燃料とするケロシンエンジン）
DYシリーズ（空冷ディーゼルエンジン）
ECシリーズ（2ストロークガソリンエンジン）

これらの多様なラインナップにより、様々な産業機械や建設機械、農業機械などに搭載され、その性能を発揮しました。

また、他社製品への供給も積極的に行われており、例えば株式会社新ダイワ工業（現・株式会社やまびこ）の発電機や溶接機、チェンソーなどのエンジンとしても採用されていました。マキタのラビットブランド製品の一部（耕運機、管理機、刈払機、動力散布機など）にも、富士ロビン時代からの流れでロビンエンジンが搭載されていました。ロビンエンジンは、このように幅広い分野と企業で利用され、その存在感を示していました。

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