ロビンフッド (企業)

ロビンフッド：手数料無料の投資アプリが変えた株式市場

ロビンフッドは、アメリカ合衆国発祥のフィンテック企業であり、同名の証券取引アプリを提供しています。最大の特徴は、株式取引における手数料無料化です。この画期的なサービスは、従来のオンライン証券取引サービスとは一線を画し、多くの個人投資家を惹きつけました。

設立と急成長

2011年の「ウォール街を占拠せよ」運動を背景に、バイジュ・バットとウラジミール・テネフによって2013年に設立されました。彼らはスタンフォード大学卒業後、投資銀行ソフトウェアのスタートアップで経験を積んだのち、誰もが利用できる金融サービスを目指してロビンフッドを立ち上げました。

初期投資はIndex Venturesとアンドリーセン・ホロウィッツから300万ドルの資金調達によって行われ、アメリカ証券取引委員会の承認を得て正式にサービスを開始しました。ベータ版提供を経て、2015年には正式ローンチ。iOSアプリから始まり、手数料無料の株式取引は瞬く間に広まりました。その後、仮想通貨取引にも進出し、手数料無料のサービスを提供し続けたことで、ユーザー数を飛躍的に伸ばしました。

2018年には、当座預金と普通預金のサービスを開始。他行の平均金利を大きく上回る3%の金利を提供する一方、連邦預金保険公社の保証対象外であることを明確にしました。この高金利サービスも、ユーザー獲得に貢献した要因の一つと言えます。

ビジネスモデルと批判

ロビンフッドの収益源は、金利収入、高頻度取引業者からのリベート（ペイメント・フォー・オーダーフロー）、アプリのプレミアム会員からの手数料です。特に、ペイメント・フォー・オーダーフローは、ロビンフッドの収益の大きな部分を占めており、この点について批判の声が上がっています。2020年には、このペイメント・フォー・オーダーフローについて十分に開示していなかったとして、6500万ドルの制裁金を支払うことを命じられました。これは、手数料無料を謳いつつ、顧客の注文を有利な価格で約定させず、その差額を利益としていたことを意味します。

ナスダック上場と市場への影響

2021年7月、ロビンフッドはナスダック市場に上場を果たしました。上場初日の株価は公開価格を下回るものの、時価総額は約290億ドルに達しました。

ロビンフッドの登場は、アメリカの株式市場に大きな影響を与えました。特に、新型コロナウイルス感染症対策の給付金などの影響を受け、ミレニアル世代を中心に、ロビンフッドを通じて株式投資を始める個人投資家が増加しました。彼らは「ロビンフッダー」と呼ばれ、個別銘柄の値動きに影響を与える存在となっています。

まとめ

ロビンフッドは、手数料無料という画期的なサービスで株式投資の世界に革命を起こしました。しかし、そのビジネスモデルや企業倫理をめぐる問題も抱えています。低コストでの投資機会を提供する一方で、透明性や顧客保護の観点から、さらなる課題を克服していく必要があるでしょう。今後の動向に注目が集まります。

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