ロビンフッドの大冒険

ロビンフッドの大冒険：圧政に立ち向かう弓の使い手と仲間たちの物語

1990年から1991年、そして1992年と、NHK衛星放送で放映されたテレビアニメ『ロビンフッドの大冒険』。アレクサンドル・デュマの小説を原作とする本作は、日本のアニメーション制作会社が海外市場への輸出も視野に入れて制作した意欲作です。全39話に加え、総集編6本も制作され、当時の視聴者を魅了しました。

物語の舞台は、12世紀のイングランド、ノッチンガム州。冷酷な領主アルウィン男爵の圧政の下、人々は苦しんでいました。主人公ロビンフッド、本名ロバート・ハンティングドンは、男爵に反抗した生家ハンティングドン家が焼き討ちに遭い、両親を亡くした過去を持ちます。父の形見である弓を手に、彼は従兄妹たちと共に、シャーウッドの森へ身を隠します。

ロビンは、弓の腕前だけでなく、強い正義感と仲間思いの性格で知られています。彼の仲間たちにも、個性豊かな面々が揃っています。ロビンの従兄ウィルは、物語後半で棒術の達人となり「疾風のウィル」として活躍。臆病な妹ウィニフレッドや、楽天的な妹バルバラも、ロビンを支えます。

一方、シャーウッドの森では、山賊たちとも出会います。気は強いものの仲間思いのリトル・ジョンや、手先の器用なマッチ、森に住むムササビのファングなど、彼らとの出会いを通して、ロビンの冒険はさらに深まります。

アルウィン男爵側には、冷酷な騎士ギルバートや、巨額の資金を提供するヒヤフォード僧正といった強力な敵が立ちはだかります。ギルバートは、かつてアルウィンに助けられた過去を持つため、彼の圧政に反対することができずにいます。しかし、ロビンとの出会いを経て、葛藤を抱えることになります。また、マリアンという貴族の令嬢も、物語に重要な役割を果たします。彼女は、森の財宝の鍵を握る黄金の十字架を持ち、ロビンたちと行動を共にすることになります。

アニメーション制作はタツノコプロが担当。緻密なキャラクターデザインと、躍動感あふれる戦闘シーン、そして、原作にはない独自の解釈を加えた世界観が魅力です。特に、地上波で放送された関西テレビ版では、聴覚障害者向けに字幕が挿入されました。セリフだけでなく、効果音にも字幕が付けられた、漫画のような独特のスタイルは、当時大きな話題となりました。

『ロビンフッドの大冒険』は、単なる冒険物語ではありません。圧政に立ち向かう勇気、仲間との絆、そして、己の正義を貫くことの大切さを描いた、心に残る作品です。ロビンフッドの活躍、そして彼を取り巻く人々のドラマを通して、視聴者は、正義と悪、友情と裏切りといった普遍的なテーマについて考えさせられるでしょう。 時代を超えて愛されるロビンフッドの物語を、独自の視点で再構築した本作は、アニメーション史に残る名作として、高く評価されています。主題歌「Wood Walker」と「星空のラビリンス」も、作品の世界観を彩る重要な要素となっています。

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