ロビン・ウィリアムズのもしも私が大統領だったら…

『ロビン・ウィリアムズのもしも私が大統領だったら…』

2006年に公開されたアメリカ映画で、ロビン・ウィリアムズが主演を務めた政治風刺コメディです。日本では劇場公開されず、ビデオスルーとなりました。本作は、風刺ニュース番組の司会者が大統領選に出馬し、その過程で不正選挙に巻き込まれていく様子を描いています。コメディとサスペンスが入り混じる展開が特徴で、社会問題に対する風刺的な視点も盛り込まれています。

ストーリー

主人公トム・ドブズは、辛辣なコメントで人気を集める風刺ニュース番組の司会者です。彼は、分断を招く政治に不満を抱く国民の声を代弁しています。ある日、視聴者からの「大統領に立候補すべきだ」という声に後押しされ、軽い気持ちで選挙戦に突入します。ネット上での支持は急上昇し、トムは主要な候補者との討論会にも参加することになります。

一方、投票機械を製造するデラクロワ社の社員エレノア・グリーンは、選挙システムの欠陥に気づきます。彼女は上司に報告するも、その事実は隠蔽されてしまいます。トムが選挙活動を続ける中、エレノアはシステムの不正を暴こうと奔走します。選挙討論会では、他の候補者の真面目な態度にうんざりしたトムが、持ち前のユーモアで聴衆を沸かせます。彼の人気は高まるものの、依然として支持率は伸び悩んでいました。

選挙当日、投票システムに欠陥があるというエレノアの予想通り、ケロッグ大統領が全ての州でリードしているという結果が出ます。しかし、トムが出馬した13州では、彼が圧勝し、大統領に必要な選挙人を獲得します。エレノアはデラクロイ社の欠陥を問い詰めますが、会社の幹部たちはそれを無視します。トムは選挙結果に驚きつつも、勝利を喜びます。一方、エレノアは自宅で襲撃され、意識を失ってしまいます。病院で検査を受けた結果、彼女の体内から高濃度の薬物が検出され、会社の陰謀に巻き込まれていきます。

エレノアは、FBI捜査官を装ってトムに接触を試みますが、選挙結果について説明する前に引き離されてしまいます。トムはデラクロイ社に電話し、エレノアの解雇理由を尋ねますが、彼女は薬物問題で解雇されたと告げられます。エレノアは、デラクロイ社のシステムの欠陥を突き止めます。それは、苗字に同じ文字が連続する候補者が有利になるというもので、この仕組みがトムの勝利に繋がったのです。エレノアはトムに電話でこの事実を伝え、トムは彼女を感謝祭の食事に招待します。トムは彼女の薬物問題を知っていると言いますが、エレノアは否定し、選挙結果が不正であることを訴えます。

翌日、トムは公の場でこの事実を発表するとエレノアに伝えます。しかし、エレノアの同僚は、エレノアが選挙結果を操作しようとしたと発表し、トムの行動を妨害します。エレノアはデラクロイ社の手先から逃げ、公衆電話からトムに電話をかけようとしますが、電話ボックスにトラックが突っ込みます。トムは現場に駆けつけ、重傷を負ったエレノアから真相を聞き出します。トムの友人たちは、世論調査で国民の60％がトムの就任を支持していると知り、大統領の地位を維持するように勧めます。

トムは『サタデー・ナイト・ライブ』に出演し、デラクロイ社の投票システムに欠陥があったこと、エレノアが不正を訴えたが隠蔽されたこと、そして、やり直しの選挙には出馬しないことを発表します。最終的に、ケロッグ大統領が再選を果たし、トムはエレノアをプロデューサーに迎え、風刺ニュース番組の司会者として復帰します。デラクロイ社の幹部たちは逮捕され、タイム誌はトムを「マン・オブ・ザ・イヤー」に選出します。

キャスト

トム・ドブス：ロビン・ウィリアムズ
エレノア・グリーン：ローラ・リニー
ジャック・メンケン：クリストファー・ウォーケン
ジェームズ・ヘミングス：ジェフ・ゴールドブラム
ダニー：ルイス・ブラック

スタッフ

監督・脚本：バリー・レヴィンソン
製作：デヴィッド・ロビンソン、ジェームズ・G・ロビンソン
撮影：ディック・ポープ
音楽：グレーム・レヴェル

評価

本作は、批評家からは否定的な評価を受けました。特に、コメディ調の序盤から企業陰謀へと急展開するストーリー展開や、ジョン・スチュワートやスティーヴン・コルベアなどの人物をモデルにしたとされるキャラクターの独創性の欠如が指摘されました。しかし、序盤の政治的なユーモアを評価する声もありました。興行収入は、全世界で約4100万ドルでした。

関連項目

ヒップホップ・プレジデント：本作と類似した内容のクリス・ロック主演の2003年の映画

本作は、政治風刺コメディとして、選挙の裏側やメディアの影響力を描いています。ロビン・ウィリアムズのコミカルな演技と、サスペンスフルなストーリー展開が見どころです。

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