ロビー・ディーンズ

ロバート・マクスウェル・ディーンズ

ロバート・マクスウェル・ディーンズ（Robert Maxwell Deans, 1959年9月4日生まれ）は、ニュージーランド出身の著名なラグビー指導者です。愛称は「ロビー（Robbie）」。現役時代はニュージーランド代表（オールブラックス）の選手としても活躍しました。

選手としての歩み

北カンタベリー地方シャビオットに生まれたディーンズは、クライストチャーチの名門クライスト・カレッジで学び、その後リンカーン大学に進みました。大学のラグビーチームでプレーし、U-19ニュージーランド代表にも選出されています。

プロ選手としては、1979年から1990年にかけてカンタベリー州代表の中心選手として活躍。ファースト・ファイブ・エイスやフルバックとしてチームを牽引しました。また、1983年から1985年にはオールブラックスにも選ばれ、国際試合に5キャップを記録しています。

ラグビー一家の出身としても知られ、弟のブルース・ディーンズも元オールブラックス選手、大叔父のボブ・ディーンズもオールブラックスで24キャップを獲得した名選手です。

指導者キャリアの確立：ニュージーランド国内

現役引退後、ディーンズはすぐに指導者の道へ進みます。U-21やシニアのカンタベリーカントリーでコーチを務めた後、1997年にはニュージーランド州代表選手権（NPC）に参加するカンタベリー州代表のヘッドコーチに就任。初年度からチームを優勝に導き、指導者としての才能を開花させました。

1998年には、スーパーラグビーに参加する強豪カンタベリー・クルセーダーズのマネージャーに就任し、当時のヘッドコーチ、ウェイン・スミスの右腕としてチームを支えました。スミスがオールブラックスのヘッドコーチに転じた2000年、ディーンズはクルセーダーズのヘッドコーチに昇格します。

クルセーダーズでの黄金時代

クルセーダーズのヘッドコーチに就任したディーンズは、チームをスーパーラグビーの絶対王者へと育て上げます。在任期間の2000年から2008年にかけて、スーパー12/14で実に5回の優勝（2000年、2002年、2005年、2006年、2008年）と2回の準優勝（2003年、2004年）という驚異的な成績を残しました。この間、カンタベリー最優秀コーチ賞を4度、ニュージーランド最優秀コーチ賞も受賞するなど、その手腕は国内外で高く評価されました。彼はクルセーダーズを世界最強のクラブチームとして不動の地位に押し上げた名将として、その名を広く知らしめました。

クルセーダーズを率いる傍ら、2001年から2003年には当時のジョン・ミッチェルヘッドコーチの下でオールブラックスのアシスタントコーチも務め、国際レベルでの指導経験も積んでいます。

オーストラリア代表という挑戦

2007年のラグビーワールドカップでオールブラックスが思わしい結果に終わらなかった後、ディーンズは次期オールブラックスヘッドコーチの有力候補と目されました。しかし、ニュージーランドラグビー協会（NZRU）はグラハム・ヘンリーの続投を決定します。

この決定を受けて、オーストラリアラグビー協会（ARU）はディーンズに白羽の矢を立てました。2007年12月、ARUは2011年のワールドカップを見据え、ディーンズを新たな代表ヘッドコーチとして招聘することを発表。これはオーストラリアラグビー史上初めて、ニュージーランド人がワラビーズ（オーストラリア代表の愛称）のヘッドコーチに就任するという歴史的な出来事でした。契約が残っていたクルセーダーズのヘッドコーチも2008年シーズン終了まで兼任することが認められ、彼はクルセーダーズを見事な優勝で締めくくった後、ワラビーズの指揮官となりました。

オーストラリア代表ヘッドコーチとしては、2008年から2013年まで指揮を執りました。若手選手の登用を進め、チームの世代交代を図りました。2011年ワールドカップではチームを準決勝へ導き、3位決定戦でウェールズに勝利して3位という結果を残しました。しかし、オールブラックスに対しては18戦して3勝1分14敗と苦戦を強いられます。最終的に、2013年のブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズとのテストシリーズで負け越しが決まった後、同年7月にヘッドコーチからの退任を発表しました。ワラビーズでの通算成績は74戦43勝2分29敗、勝率58.1%でした。

日本での成功、そしてバーバリアンズ

オーストラリア代表を退任したディーンズは、日本のトップリーグに活躍の場を移します。2013年にはパナソニックワイルドナイツの合宿で一時的な指導を担当した後、2014年4月に同チームのヘッドコーチに正式に就任しました。

パナソニックではその手腕を存分に発揮し、2014-2015年シーズンでトップリーグ優勝を達成。続く2015-2016年シーズンもリーグ戦を連覇し、さらに日本選手権も制覇するという輝かしい結果を残しました。

また、日本のトップリーグでの指導と並行して、世界の強豪選手を集めて編成される「バーバリアンズ」のヘッドコーチも務めています。2016年には南アフリカ代表と、2017年にはニュージーランド代表、トンガ代表との試合でバーバリアンズを率いました。

ロバート・マクスウェル・ディーンズは、選手としても指導者としても世界のラグビー史に名を刻む存在であり、特に指導者としてはニュージーランド、オーストラリア、日本のそれぞれの地で確かな実績を残し続けています。その戦術眼と選手育成能力は、ラグビー界で常に高く評価されています。

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