ロフストランドクラッチ

ロフストランドクラッチとは

ロフストランドクラッチ（Lofstrand Crutch）は、前腕支持型杖とも呼ばれる、片手で使用する医療用補助器具です。この杖は、グリップと前腕を固定するカフという支持機構を備えており、歩行時の安定性を高めるために介護やリハビリの現場で広く活用されています。

特徴

ロフストランドクラッチの最大の特徴は、その構造にあります。ステッキのような杖の形状に、腕を固定するためのカフが組み合わさっており、グリップを握る力とカフで固定された腕の力が杖先に効率よく伝わるように設計されています。杖の支柱は、グリップとカフで支える力がまっすぐに杖先に伝わるように、絶妙な角度で伸びています。

多くの製品では、グリップから杖先までの長さと、グリップからカフまでの長さを調整できる機構が備わっています。これにより、使用者の体格や状態に合わせて最適な長さに調整できます。ただし、最近ではカフの高さ調整機構がないエルゴグリフクラッチという製品も登場しています。

カフには、U字型のオープンカフとO字型のクローズカフの2種類があります。クローズカフは、腕をリングに通す必要があるため、ホールド性が高く、よりしっかりと力を伝えることができます。また、グリップから手を離した際に杖が落下するのを防ぐことができ、例えばポケットから財布を取り出す際などに便利です。しかし、冬場に厚手の服を着ていると、腕がリングに通しにくいという欠点もあります。

ロフストランドクラッチは、松葉杖と同様に下肢を補助する医療器具ですが、肘で固定するだけでなく、支脚部分がヒンジで接続されており、歩行時以外は肩に向けて跳ね上げられるものもあります。素材もアルミ製からカーボン製まで、多種多様な製品が存在します。接地面の位置は、主にスライド式のバネ付きクリックラッチで段階的に調整できるようになっています。

その特徴的な外観から、かつては円谷プロの特撮作品（「帰ってきたウルトラマン」、「ウルトラマンレオ」など）にも登場し、話題になりました。しかし、当時、その名称は一般には広まりませんでした。

リハビリテーションでの利用

理学療法では、ロフストランドクラッチは障害のある足とは反対側の手に持って使用することが推奨されます。これは、歩行時に体重を分散し、痛めている足への負担を軽減するためです。しかし、実際には痛みのために杖側に身体を傾けてしまい、障害のある足を外側に広げてしまう傾向があります。これは、痛みを避けるための無意識的な行動ですが、リハビリテーションにおいては、できるだけ身体を垂直に保ち、両足に均等に体重をかけることを意識して歩行することが重要です。また、回復が見込めない障害の場合でも、杖に頼りすぎると身体の歪みを引き起こす可能性があるため、正しい姿勢で歩くことを心がける必要があります。

リハビリに片杖が適している理由として、両手で使用する松葉杖は、脇で支えることで安定性が高く、上半身で体重を支えやすいというメリットがありますが、リハビリ段階では、足をかばいすぎてしまうというデメリットもあります。そこで、松葉杖を片手にしたり、ロフストランドクラッチやエルゴグリフクラッチに移行することで、足への荷重を促す訓練を行うことが、より効果的だと考えられています。特に骨折の場合、骨に体重をかけることで、ギプス装着期間中に衰えた骨を強化できます。しかし、痛みを理由に荷重を怠ると、骨が弱くなり、再骨折のリスクが高まる可能性があります。

関連事項

* 松葉杖

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