帰ってきたウルトラマン

『帰ってきたウルトラマン』

『帰ってきたウルトラマン』は、1971年4月2日から1972年3月31日までTBS系で放送された特撮テレビドラマで、全51話が放送されました。この作品は、ウルトラマンという巨大ヒーローと、怪獣や宇宙人に立ち向かう防衛チームMAT（マット）の戦いを中心に描かれています。

制作背景

本作は、前作「ウルトラマン」などの再放送や物販展開が好評だったことから製作が決定されました。1970年に再放送されたこれらの作品は高視聴率を記録し、怪獣に関連した商品の販売も好調でした。この流れを受けて、製作サイドは新たなウルトラマンの物語を練り始めました。

最初は初代ウルトラマンが復活する設定だったため、タイトルが『帰ってきたウルトラマン』とされましたが、スポンサーの意向で新たなキャラクターに変更され、生まれ変わったウルトラマンが物語を進行させることに。円谷英二がタイトルを命名したと言われています。絵本や人形といった関連商品も相次いでリリースされ、特にバン・ヒデキという青年がウルトラマンに変身するといった設定を通じて、「人間ドラマ」を描くことに焦点があてられました。

登場人物と設定

本作の主人公は郷秀樹という23歳の青年で、カーレーサーを目指している普通の市民です。彼はウルトラマンと一体化することで、MATに加わり地球を守る戦いに身を投じます。彼の日常生活は描かれ、単なるヒーローではなく、成長を遂げるキャラクターとして描かれています。また、彼を支える仲間たち、特に坂田兄弟や隊長の加藤、伊吹などがそれぞれ個性的に設定されており、彼らの人間関係が物語の重要なポイントとなります。

物語の展開

物語は、郷が怪獣と戦うためにMATに入隊するところから始まります。初期には、彼の成長物語が重視され、個人の感情や葛藤が中心となります。怪獣との対決はしばしば大会規模で行われ、複数の怪獣が同時に登場するエピソードも多く、視覚的にも迫力があります。

特に、第5話から第6話にかけての二大怪獣の襲撃や、第2話の挫折と再起のエピソードが注目されています。その後、物語は徐々に人間ドラマを深め、郷と彼の仲間たちの絆が強調されていきます。

中盤と終盤

中盤では視聴率が伸びないという問題があったため、視聴者のニーズをアンケートで調査し、宇宙怪獣や新技の導入が図られました。これにより視聴率は上昇し、物語はよりエネルギッシュな展開を見せます。特に、第22話ではMATの隊長が交代し、劇中の大きなイベントとして視聴者の興味を引きました。

終盤では郷がウルトラマンとしての使命を果たすべく、巨大な敵と最後の戦いを繰り広げます。最終話では、郷の成長と彼とウルトラマンの別れが描かれ、視聴者に深い感動を与えました。

作品への影響

『帰ってきたウルトラマン』は、その後の「ウルトラマン」シリーズに多大な影響を与え、以後の作品に登場するヒーローとしてのキャラクター展開やストーリー構成において新たな基盤を築きました。また、ウルトラ兄弟の概念もこの作品から生まれ、今なお多くのファンに愛され続けています。

このように、『帰ってきたウルトラマン』は特撮ファンのみならず、多くの家族にとっても大切な作品となり、ウルトラマンシリーズの中でも特に重要な位置を占めているのです。

もう一度検索