ロベルト (ターラント公)

ロベルト・ディ・ターラント（1319/26年 - 1364年9月10日）は、アンジュー＝ターラント家の重要な人物であり、その生涯は中世ヨーロッパの政治的混乱を象徴しています。彼はターラント公、アルバニア王、アカイア公、そして名目上のラテン皇帝という複数の称号を持ち、広範な地域に影響力を行使しようとしました。

生涯

ロベルトは、ターラント公フィリッポ1世とカトリーヌ・ド・ヴァロワの間に生まれました。彼は1331年にターラント公位を継承し、翌1332年には叔父のグラヴィーナ伯ジョヴァンニからアカイア公位を引き継ぎました。さらに、同じ年にラテン皇帝位も継承しましたが、これは名目的なもので、実質的な権力はアカイア公としての地位に限定されていました。彼は若年であったため、1346年に亡くなるまで、母カトリーヌが実質的な支配者としてアカイア公国を統治しました。

ロベルトの権力は、その多くの称号にもかかわらず、実際にはアカイア公国に限定されていました。1347年9月9日、彼はブルボン公ルイ1世の娘マリーと結婚しましたが、二人の間に子供は生まれませんでした。ロベルトの死後、妃マリーは自らの子（最初の結婚で生まれた）に公位を継承させようとしましたが、最終的にはロベルトの弟フィリッポ2世が正当な継承者として公位を継承しました。

ロベルトの治世は、彼自身の権力基盤の弱さと、周囲の政治的な策略によって特徴づけられます。特に、アカイア公国における母カトリーヌの存在は、彼の決定に大きな影響を与えました。ラテン皇帝としての称号は、彼に名誉を与えたものの、実際には政治的な影響力はほとんどありませんでした。

彼は1364年にナポリで亡くなり、同地に葬られました。彼の生涯は、中世ヨーロッパの貴族社会における複雑な相続と権力闘争の一例として捉えることができます。彼の死後、アカイア公国の支配権は、彼の血縁者によって争われ、この地域における政治的な不安定さを増大させました。

研究文献

ロベルト・ディ・ターラントの生涯と統治については、以下の文献でより詳細に研究されています。

Lock, Peter (1988). The Franks in the Aegean: 1204-1500. Routledge
Bon, Antoine (1969). La Morée franque. Recherches historiques, topographiques et archéologiques sur la principauté d'Achaïe. Paris: De Boccard.
Topping, Peter (1975). “The Morea, 1311–1364”. A History of the Crusades, Volume III: The Fourteenth and Fifteenth Centuries*. Setton, Kenneth M.; Hazard, Harry W. (eds.). Madison and London: University of Wisconsin Press.

これらの文献は、ロベルトの生涯、彼が関わった政治的出来事、そして彼が統治した地域に関する歴史的背景をより深く理解するための重要な情報源です。

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