ロベルト・フィツォ

ロベルト・フィツォ：スロバキア政治のキーパーソン

ロベルト・フィツォは、スロバキアを代表する政治家のひとりです。1964年生まれ。3度にわたり首相の座に就き、その政治経歴はスロバキアの近現代史に深く刻まれています。

生い立ちと初期のキャリア

西部スロバキアで生まれたフィツォは、ブラチスラヴァ・コメニウス大学法学部を卒業後、スロバキア共産党に入党。スロバキア科学アカデミーや法務省の研究所で研究員や副所長を務めました。また、欧州人権裁判所のスロバキア代表も経験しています。

政界への足跡とスメル党の台頭

1989年のビロード革命後、フィツォは民主左翼党に参加し、副党首に就任。国民議会選挙で初当選を果たします。その後、党を離れ、自らスメル党を結成。2004年には、民主左翼党など中道左派政党を統合し、スメル社会民主主義（SMER-SD）を結成しました。フィツォは、ポピュリストやナショナリスト政党の指導者らを押しのけ、スロバキア政治における主要な存在となりました。

首相としての政策と課題

2006年、2012年、そして2023年と、フィツォは3度にわたって首相に就任。経済成長を促す一方、賃上げや年金制度改革などの政策も推進しました。しかし、民族主義的な政策も採り、少数民族言語の使用制限や愛国心促進法案を可決させたことなどから批判を浴びました。2010年の選挙後、与党は過半数を維持できなくなり、首相の座を明け渡しました。

記者暗殺事件と批判

2度目の首相在任中には、政権幹部の汚職疑惑を追及していた記者の暗殺事件が発生し、フィツォへの批判が殺到。首相を辞任しましたが、スメル党首の座は維持しました。

3度目の首相就任とウクライナ情勢

2023年の国民議会選挙でスメル党が第一党に返り咲くと、フィツォは再び首相に就任。選挙期間中には、ウクライナ支援とロシア制裁への反対を訴え、親露派の支持を集めました。首相就任後には、ウクライナへの軍事支援を停止すると表明しました。

銃撃事件とその後

2024年5月、フィツォは銃撃事件に遭いました。腹部を貫通するなど重傷を負いましたが、一命を取り留め、その後退院しました。

まとめ

ロベルト・フィツォは、スロバキア政治において極めて重要な役割を果たしてきた政治家です。経済政策、民族問題、国際関係など、幅広い分野で影響力を行使してきました。首相在任中の数々の政策や、暗殺事件、そして銃撃事件と、その政治人生は波乱に富んでいます。彼の政治的立場や政策は、スロバキア国内のみならず、国際社会にも大きな影響を与え続けています。今後の動向にも注目が集まっています。

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