ロベルト・ワーグナー (指揮者)

ロベルト・ワーグナー（1915年4月20日 - 2008年12月21日）は、オーストリアに生まれ、主にヨーロッパ各地で活躍した著名な指揮者です。ウィーンで音楽教育を受け、その生涯にわたり、指揮者としてオーケストラを率いるだけでなく、教育者としても後進の指導に尽力しました。

ウィーンに生を受けたワーグナーは、若くして音楽の道に進みます。ウィーン国立音楽院で、フランツ・シュミットにピアノを、ヨーゼフ・マルクスに作曲を、そして指揮法の指導は、高名なフェリックス・ワインガルトナーに師事しました。これらの経験が、彼のその後の音楽家としての土台を築きました。

音楽院での学びを終えた後、彼は指揮者としてのキャリアをスタートさせます。1938年にはグラーツの音楽監督に就任し、その手腕を発揮し始めました。第二次世界大戦終結後の1945年には、ザルツブルク州立劇場の音楽監督に転じます。このザルツブルクへの移籍は、彼のキャリアにおいて重要な転機となりました。

ザルツブルクでは、劇場での活動と並行して、教育分野にも深く関わることになります。1947年からはモーツァルテウム音楽院で教鞭をとり始め、その教育者としての情熱を注ぎました。やがてその貢献が認められ、1965年から1971年にかけて同音楽院の院長を務め、運営面でもその力を発揮しました。モーツァルテウム音楽院における長年の功績に対し、1995年には名誉金メダルが授与されています。

ザルツブルクでの活動と並行して、ワーグナーはドイツやオーストリアの他の都市でも重要なポストを歴任しました。1951年にはドイツのミュンスターへ赴き、ミュンスター交響楽団の音楽監督に就任し、1961年までその地位にありました。また、1960年から1966年の期間は、故国オーストリアのインスブルック交響楽団で首席指揮者を務め、各地のオーケストラの水準向上に貢献しました。

晩年近くになっても、彼の活動範囲は広がります。1970年代初頭からはトルコのイスタンブールでも積極的に活動を展開し、イスタンブール国立歌劇場の常任指揮者としても指揮台に立ちました。これは、彼の音楽が国境を越えて評価されていたことを示しています。

国際的な舞台で活躍し、教育者としても多くの人材を育て上げたロベルト・ワーグナーは、2008年12月21日、かつて音楽監督を務めたドイツの都市ミュンスターにて、その波乱に富んだ生涯を閉じました。彼の残した音楽と教育への貢献は、多くの人々に記憶されています。

もう一度検索