ロベルト1世 (ナポリ王)

ロベルト1世について

ロベルト1世（Roberto I, 1277年 - 1343年1月20日）は、ナポリ王国の王であり、アンジュー家に属する重要な人物です。彼は1309年から1343年まで在位し、その時代は国内外で波乱に満ちたものでした。ロベルトは「ロベルト賢明王（Roberto il Saggio）」として知られ、特に教皇党（グエルフィ）の指導力を発揮したことで名を馳せました。

生い立ちと即位

ロベルトはカルロ2世の三男として生まれました。彼の母親はハンガリー王イシュトヴァーン5世の娘マーリアで、王族の血筋を引く人物です。1309年、父の死去に伴いロベルトは王位を継承しましたが、当時は兄の子であるカルロ・ロベルトも王位継承権を持っていました。しかし、カルロ・ロベルトはハンガリー王となることに専念していたため、ナポリ王位には興味を示さず、結果的にロベルトが即位することとなりました。

アカイア公国とその活動

ロベルト1世の治世の中でも特に注目されるのは、アカイア公国を巡る彼の行動です。彼の弟であるターラント公フィリッポ1世がこの公国を保持していましたが、1313年以降、マオー・ド・エノーがこの地を手に入れました。ロベルトはこの機会を逃さず、マオーを自らの弟グラヴィーナ伯ジョヴァンニと再婚させることを決意しました。しかし、マオーはこの提案に応じず、さらには他の貴族ユーグ・ド・ラ・パリッスと密かに結婚してしまいました。これに激怒したロベルトは、マオーを捕らえてアカイア公位を剥奪し、彼女を投獄しました。その結果、自らアカイア公位も兼ねることとなりました。

当時、神聖ローマ皇帝ハインリヒ7世がイタリアに進出していたため、ロベルトは多忙な日々を送っていました。1322年、ついにユーグを大逆罪の罪で処刑し、問題を後に残さないよう努めました。その後、アカイア公位は弟ジョヴァンニに譲られることになりました。

政治的評価と家族

ロベルト1世は、フィレンツェ出身の著名な文人ダンテ・アリギエーリによって「口先だけの王様」と評されました。この評価は、ロベルトの政治手腕や実行力に対する疑問を示唆しています。彼の政治は時に非常に手堅いものでしたが、彼の実際の行動は議論の余地を残しました。

個人的な面では、ロベルトは1297年にアラゴン王ペドロ3世の娘ヨランダと結婚し、二人の息子、カルロ（1298年 - 1328年、後のカラブリア公）とルイージ（1301年 - 1310年）をもうけました。その後、1304年に彼はマヨルカ王の娘サンチャと再婚しましたが、この結婚からは子供は生まれませんでした。

結論

ロベルト1世は、その時代の複雑な政治状況の中で舞台に立った力強いリーダーでした。アカイア公国の掌握や個人的な結婚生活を通して、彼の人生は数々の劇的な出来事に彩られました。彼がナポリの歴史にどのように影響を与えたのかを知ることは、当時のイタリアの政治を理解するための一助となるでしょう。

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